親の介護と仕事の両立が不安なときは?退職前に整理すること

仕事と親の介護を両立するために家族で話し合う場面(AI生成のイメージ画像) 転職

親の通院が増えた。離れて暮らす親から、以前より頻繁に電話が来る。仕事中も「何かあったら自分が行かなければ」と気になって、今の働き方を続けられるのか不安になることがあります。

親の介護が心配になった時点で、退職まで決める必要はありません。 まずは、親に必要な支援、あなたが担う時間、勤務先で調整できることを分けて考えましょう。一人で何とかする計画ではなく、仕事を続けながら支えられる体制を相談することが先です。

この記事では、高齢の親の介護と仕事の両立に不安がある人に向けて、最初の相談先、会社に伝える内容、働き方を見直すときの確認事項を整理します。制度は2026年10月に確認した厚生労働省の資料に基づき、具体例は説明のための架空のものです。

最初にするのは、仕事を辞める決断より「相談先を二つ持つ」こと

親にどのような支援が必要かを会社だけに聞いても、介護の体制は決まりません。反対に、介護の専門家だけでは、あなたの勤務時間や役割を調整できません。親の生活についての相談先と、仕事についての相談先を並行して確保します。

親の生活は、地域包括支援センターへ相談する

高齢の親の生活や介護の相談は、親が暮らす地域の地域包括支援センターが入口になります。介護サービスを使うか決まっていなくても、今困っていることを相談してください。担当する窓口が分からなければ、その市区町村の介護保険担当課に確認できます。

厚生労働省は、地域包括支援センターを保健・医療・介護・福祉の相談機関として案内し、介護の不安や仕事との両立の悩みにも対応すると説明しています。相談・支援は無料です。出典:厚生労働省「介護保険制度・地域包括支援センターについて」。

電話では、詳しい制度名を知っている必要はありません。「親が一人暮らしで、通院や買い物の支援が増えています。私は別の地域で働いており、毎日は通えません。何から確認すればよいですか」のように、親の困りごとと自分ができる範囲を伝えます。すでに担当のケアマネジャーがいるなら、その人にも今の働き方や負担を共有しましょう。

親の希望も聞きながら、家族だけで担うと決めず、利用できる支援を確かめます。入院中で退院後の生活が心配な場合は、病院の相談窓口にも、退院後の支援について相談してください。

仕事は、上司と人事・社内の相談窓口へ伝える

会社には、介護が始まってから全日休むと決めた段階でなくても相談できます。「まだ予定が固まっていないが、今後勤務の調整が必要になるかもしれない」という共有から始めて構いません。

2025年4月からは、介護に直面したと申し出た従業員への制度の個別周知・利用意向の確認などが、会社に義務付けられています。介護をどうするか一人で決めてから申請するのではなく、使える制度を知るために相談することにも意味があります。出典:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」改正のポイント。

「介護に何時間かかるか」を一つの数字で決めない

今週は通院の付き添い、来週は手続き、その後は定期的な見守りが必要になるなど、求められる時間は変わります。最初から「毎日何時間」と固定せず、予定が分かる用事、継続する支援、急な対応に分けて書き出しましょう。

会社と家族に相談するための整理例
必要なこと時間・頻度の例次に確かめること
通院の付き添い月1回、平日の午前中。移動を含めると半日予約時間の調整、家族の分担、付き添い方法
退院後の生活の準備退院前後に、平日の面談や手続きが続く見込み必要な支援と連絡先、仕事を休む期間
日常の見守り・生活支援夕方の確認や買い物など。必要量は相談して把握親の希望、サービスの利用、家族が担う範囲
急な連絡への対応頻度はまだ分からない連絡の順番、自分が出られないときの対応者

上の頻度は標準的な介護量ではなく、書き分けるための例です。分からない欄は「未定」でよく、相談後に更新します。親の状態に必要な支援の判断は、医療・介護の専門家と確認してください。

家族で分担する場合も、「近くにいる人が全部やる」「時間のある人がその都度対応する」だけでは、負担が見えません。現地での対応、手続き、費用の管理、連絡調整などを分け、本人が担える範囲を確認します。あなた自身の睡眠や通院、休息も、削り続けてよい時間には含めないでください。

介護休業と介護休暇は、使う場面を分けて確認する

会社員向けの両立支援には、まとまった期間を休む制度だけでなく、必要な日に休む制度、勤務時間を調整する仕組みがあります。制度名が似ていても、日数や対象要件は同じではありません。

会社へ確認したい主な両立支援
制度・措置主な内容相談の場面
介護休業対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分けて取得できるまとまった期間を確保し、支援や仕事復帰の体制を整える
介護休暇年5日、対象家族が2人以上なら年10日まで。1日または時間単位で取得できる通院の付き添いや手続きなどで、必要な時間を休む
短時間勤務等の措置短時間勤務、フレックス、時差出勤、介護サービス費用助成等から会社が措置する制度継続する支援と、勤務の時間帯などを調整する
所定外労働の制限等所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限など残業や夜間勤務が両立を妨げる場合に、利用要件を確認する

これは制度を探すための概要です。対象家族の状態、雇用条件、申出の手続きなどに要件があります。短時間勤務等についても、全社で同じ選択肢を使えるわけではありません。詳細は厚生労働省の介護休業制度特設サイトと勤務先の規程で確認してください。

介護休業は、93日間を自分一人で介護し続けるためだけの休みではありません。 厚生労働省は、家族を支える体制をつくり、仕事を継続できるよう準備する期間として説明しています。また、勤務先の介護休業制度の対象になるかと、介護保険の認定は同じ判定ではありません。認定が出ていないから相談できない、と自己判断しないでください。出典:厚生労働省「介護休業制度」。

休業・休暇中の給与がどう扱われるか、介護休業給付の対象になるかも確認します。「休める制度がある」と「その間の収入が維持される」は別です。人事に給与の扱いを聞き、給付についてはハローワークの案内を確認しましょう。

上司には「できなくなること」だけでなく、調整する仕事を伝える

制度を利用できても、休むたびに自分の仕事が積み上がれば、復帰後に無理が出ます。上司とは、休む時間だけでなく、その間の仕事をどう扱うかまで相談します。自分だけで完璧な代替案を作る必要はありませんが、止まりそうな業務が分かると話し合いやすくなります。

以下は相談の例です。

親の生活支援が必要になり、地域の窓口に相談しています。現時点では、月1回の通院で平日午前の調整が必要です。急な対応の頻度はまだ分かりません。利用できる制度を人事に確認したうえで、午前の定例会議と顧客対応の代理を相談したいです。状況が分かる来月末に、改めて勤務の調整内容を見直せますか。

「いつでも連絡を取れます」と約束して穴を埋めないことも大切です。対応できない時間帯、判断を代わってもらう仕事、後日でよい確認を分けます。管理職であっても、すべての判断を自分一人に戻す運用では、休む制度を使いにくくなります。

勤務時間外も自分に連絡が集中しているなら、休日の仕事連絡について、窓口と代理を決める方法を参考に、会社として対応する体制を相談してください。

家族の状態を詳しく話したくない場合は、まず人事や相談窓口に、手続きに必要な情報、上司・同僚へ共有する範囲を確認します。チームには勤務の変更と連絡方法を中心に伝え、家族の事情を一律に詳しく説明する必要はありません。

今の働き方で難しいときも、退職と転職を急いでセットにしない

支援を使っても生活が回らない場合、勤務地や担当、勤務時間を変えることも検討します。ただし、転職先に制度があるだけで、今より両立しやすくなるとは限りません。通勤は短くても夜間対応が多い、在宅勤務は可能でも日中に会議が続く、といった違いがあるためです。

在宅勤務も、勤務中に常時介護できることを意味しません。仕事に集中する時間と支援が必要な時間が重なるなら、勤務時間の調整や介護サービスなども含めて考えます。

他社を調べる場合は、「介護に理解のある会社」という言葉を、確認できる条件に変えましょう。

  • 必要な時刻に帰宅できる勤務時間・通勤時間か。
  • 急な欠勤や早退の際、担当業務を引き継ぐ仕組みがあるか。
  • 希望する休暇・勤務制度は、入社後いつから、どの条件で利用できるか。
  • 勤務地変更、出張、勤務時間外の対応はどの程度想定されるか。
  • 給与や勤務時間が変わっても、生活費と介護に関わる支出を支えられるか。

特に、転職すればすぐ介護休業を使えると決めつけないでください。介護休業については、労使協定によって継続雇用1年未満の労働者を対象から除くことが認められています。これは「介護休暇」とは別の扱いなので、必要な制度ごとに確認します。出典:厚生労働省「介護休業制度」の対象者・事業主の義務。

現職の制度や地域の支援を確かめても、必要な働き方が難しいと分かった段階なら、転職を決める前の相談の進め方を使って、希望する地域・時間・役割を整理できます。求人を紹介してもらえるかは経験や条件によって異なり、転職相談で介護の体制そのものが決まるわけではありません。

会社に制度利用を断られて理由が分からない、介護休業等の申出で不利益な扱いを受けたと感じる場合は、退職だけで解決しようとせず、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談してください。窓口は厚生労働省「仕事と介護を両立したい」から確認できます。

今日決めるのは、辞める日ではなく、最初の相談先でよい

「仕事を続けたい」と思うことと、親を大切にすることは両立しない願いではありません。家族だけで支える案を完成させる前に、専門家の力を借り、会社と調整できることを確かめてください。

まずは、親の地域の相談窓口を一つ調べ、勤務先の介護に関する窓口を確認する。次に、今分かっている用事と時間を書き出す。すべてを一度に決めず、状況が変わったときに相談し直せる形をつくるところから始めましょう。

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