後から入ってきた人の方が、自分より給料が高い。仕事を教えているのはこちらなのに、と知った瞬間から見え方が変わってしまうことがあります。
相手に悪気はないと分かっていても、「長く働いてきた自分は何だったのだろう」と感じる。金額の差だけでなく、これまでの貢献が扱われていないように思えることが、つらさの一部かもしれません。
まず確認したいのは、自分の役割と給与が何を基準に決まり、どうすれば見直されるのかです。比べる条件をそろえ、社内での改善余地を確認してから、他社も含めて選択肢を考えていきましょう。
後から入った人の方が給料が高くなるのはなぜ?
入社時期が違えば、会社が人を採るために提示する条件も変わります。一方、在籍している社員の給与は、既存の等級や昇給制度に沿って決まることがあります。採用時の条件と入社後の昇給の仕組みが、同じ速さで動くとは限りません。
マイナビ転職の相談回答でも、転職市場の状況によって既存社員より高い給与で中途採用する場合があると説明されています。ただし、これは自社の給与差の理由を証明するものではありません。自分の会社の基準は、別に確認する必要があります。出典:マイナビ転職「同年代・中途入社社員のほうが給与が高い」
同じチームに見えても、担当範囲、求められる専門性、職位、勤務条件が異なる可能性もあります。だからといって、事情が分かる前から「自分が我慢すべき」と結論づける必要はありません。差が生まれた理由を理解することと、その差に納得して働けることは別です。
年収の数字を比べる前に、条件をそろえる
「自分より月額が高いらしい」という情報だけでは、どこに差があるか判断しにくいものです。まずは自分の給与明細、労働条件通知書、等級の説明など、手元で確認できる資料から整理します。
| 項目 | 確認すること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 役割・等級 | 担当範囲、判断権限、期待される成果 | 肩書きが同じでも責任範囲が違う場合がある |
| 基本給・手当 | 毎月固定で支払われる額と、その内訳 | 住宅手当など支給条件が異なるものを混ぜない |
| 残業代 | 月額に含まれているか、別に支払われるか | 固定残業代を含む総額と基本給を比べない |
| 賞与 | 実績額なのか、想定額なのか | 業績連動分や入社年だけの条件を区別する |
| 働き方 | 所定労働時間、休日、勤務地など | 同じ年収でも生活への負担が違う |
| 改定の仕組み | 昇給時期、昇格条件、給与範囲 | 今の差だけでなく今後の見通しも確認する |
相手の情報は、本人が話した範囲や公開された募集条件以上に探り回らなくて大丈夫です。同僚の給与明細を見せてもらったり、他人の個人情報を集めたりすることを、相談の条件にする必要はありません。
例えば「同じ職種の求人で、自分の基本給より高い下限額が出ていた」という場合も、募集等級や経験要件まで確認します。自分にも当てはまる役割であれば、人事に基準を聞く材料になります。ただし、求人の上限額がそのまま自分に適用されるわけではありません。
上司には「同僚との差」から「自分の処遇」へ話を移す
相談では、納得できない気持ちを消す必要はありません。ただ、「あの人より自分の方が仕事ができる」で話を始めると、人物の比較に時間を取られ、自分の給与をどうするかが曖昧になりがちです。
最初は、自分が担当している役割と、確認したい基準を短く伝えます。次は、相談文の例です。
現在、担当業務に加えて新人の立ち上がり支援と、チーム内の品質確認を担当しています。役割が広がった分が、今の等級・給与にどう反映されているかを確認したいです。次の見直しに必要な成果と、判断の時期を教えていただけますか。
採用条件の変化を知っている場合は、「最近の募集条件も拝見し、在籍社員の処遇を見直す仕組みがあるか知りたいです」と添えられます。相手の名前を出さなくても、制度については質問できます。
成果は「忙しかった」だけで終わらせない
準備するのは、長い功績一覧ではありません。役割が増えた場面を二、三件選び、「何を任され、どう動き、何が変わったか」を説明できれば、話を始められます。
例えば「後輩の面倒を見た」ではなく、「問い合わせの一次対応を教えるために確認表を作り、担当者だけで判断できる範囲を整理した」と説明します。数字が確認できるなら添え、確認できない数値を後から作らないことも大切です。
記録が残っていない場合は、評価面談に使える仕事の実績メモの形式で、今後の仕事から書き始めると整理しやすくなります。
「頑張っているのは分かっている」で終わらせない
感謝の言葉をもらっても、処遇の話が進んだとは限りません。次の三点を確認しましょう。
- 誰が、どの制度で給与や等級を判断するのか
- 自分に足りない条件は何か。今の役割をどう評価しているのか
- いつまでに何を確認し、次はいつ話せるか
「今は予算がない」と言われたら、評価自体の問題なのか、予算・時期の問題なのかを分けて聞きます。給与がすぐ変わらない場合も、役割の調整、昇格の検討、次の審査時期など、決まったことと未定のことを残しておきます。
会社の回答を受けて、残る条件を考える
一度の面談で昇給が決まらなくても、基準や次の段取りが明確になれば、確認を続ける理由になります。一方、何度聞いても判断者や条件が分からず、仕事だけ増えるなら、他社の条件を調べる意味はあります。
| 確認できたこと | 次にすること |
|---|---|
| 役割の違いと、上位等級へ進む条件が分かった | その役割を引き受けたいかも含め、必要な経験と確認日を決める |
| 評価はされているが、見直し時期は先だった | 待てる期間と、途中で見直す条件を自分でも決める |
| 理由や見直しの仕組みが説明されない | 面談内容を記録し、人事にも制度を確認しながら社外の条件を調べる |
| 給与以外にも責任や時間の負担が大きい | 金額だけでなく担当範囲や働く時間も含めて見直す |
管理職としての責任が増えたのに待遇が見合わない場合は、管理職の給料・責任・働く時間を比べる方法も参考になります。昇給だけでなく、負担を調整できる余地も確認できます。
なお、他の社員との給与差の話と、約束された給与が支払われていない問題は分けて考えてください。給与の未払いが疑われる、労働条件の変更で争いになっているといった場合は、社内交渉だけで抱えず、厚生労働省が案内する総合労働相談コーナーなどで相談できます。
他社を見るなら、入社時の年収と入社後の上がり方を確かめる
今の不満が給与の決まり方にあるなら、次の会社でも初年度の提示額だけを見て決めると、同じ不満が残る可能性があります。求人票で条件を確認し、面接では「入社後の評価時期」「担当する等級の期待役割」「昇給・昇格の基準」を聞きましょう。
会社の説明だけでは実際の運用が見えないときは、社員の口コミも補足材料になります。ただし、違う職種や古い投稿の年収を、自分に提示される金額と同じものとして扱わないことが大切です。転職口コミの見方で確認する観点を押さえてから、候補企業の評価や給与の記述を調べてみてください。
まだ応募する気持ちになれなくても、「今の役割を他社ではどう扱うか」は相談できます。40代・50代で役割や収入を大きく変えにくい方は、転職を決める前の相談で整理しておきたいことを読んで、相談の目的を決めておくと、条件の合わない求人に話が流れにくくなります。
最初の一歩は、同僚の給与をさらに調べることではありません。自分の役割が増えた点を三つ書き、処遇の基準を確認する面談を設けることです。その回答を材料に、今の会社で改善を待つか、社外にも選択肢を持つかを考えていきましょう。
