数字が苦手な管理職へ|損益計算書を部門の判断に使う読み方

資料に目を通しながら考えるビジネスパーソン(イメージ画像) マネジメント

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売上の報告はできるけれど、「利益はどうなっている?」と聞かれると答えに詰まる。損益計算書を開いても、数字が並んでいるだけに見える。管理職になってから、会計を学び直したいと思うこともあるでしょう。

最初は「売上高から売上原価を引くと粗利、そこから販管費を引くと営業利益」という流れをつかみ、前の期間や計画との差を確かめます。数字の良し悪しを即断するより、どこが変わり、自分の部門で何を確認すべきかを言葉にすることが出発点です。

この記事では、一般的な損益計算書の基礎を、架空の数字で確認します。実際の部門資料は会社によって集計方法が異なるため、自社の科目の定義と費用の範囲も合わせて確認してください。

損益計算書は、一定期間の収益と費用を読む資料

損益計算書はP/Lとも呼ばれ、一定期間の収益・費用と、その結果である利益または損失を示します。J-Net21の「決算書の作成」でも、損益計算書は会計期間の経営成績を把握する資料として説明されています。

読む前に、何月の資料か、年度累計か、金額の単位は円・千円・百万円のどれか、予算か実績かを確認します。単月の実績と年度の計画をそのまま比べないようにしてください。

「利益」は、通帳に残っているお金と同じではありません。利益を見る資料と資金の入出金を見る資料は役割が違います。部門で支払いの判断をする場合も、P/Lが黒字という理由だけで資金の余裕まで判断しないようにします。

まずは売上高・粗利・営業利益のつながりを押さえる

項目基本の見方
売上高商品・サービスの販売などによる収益
売上原価その売上に対応する商品・サービスの原価
売上総利益(粗利)売上高-売上原価
販売費及び一般管理費(販管費)販売や管理の活動にかかる費用
営業利益売上総利益-販管費

計算の基本は、J-Net21の「損益計画の書き方」で確認できます。ここでは、現場の仕事と結びつけやすい営業利益までに絞って見ていきます。

注意したいのは、給料や外注費がすべて販管費になるとは限らないことです。製造やサービス提供に関わる費用など、業務の内容や会社の会計処理によって売上原価に含まれるものもあります。「人件費だからこの欄」と自分だけで決めず、経理へ集計範囲を確認しましょう。

売上が増えても利益が減る、架空の数値例

以下は、同じ事業の二つの月を比べた練習用の例です。すべて架空の数値で、実在企業の実績や業界の標準ではありません。単位は万円、比較する期間の長さと集計範囲は同じとします。

項目前月当月差額
売上高1,0001,200+200
売上原価600840+240
売上総利益400360-40
販管費300330+30
営業利益10030-70

売上高は200万円増えましたが、売上原価は240万円増えたため、粗利は40万円減りました。さらに販管費が30万円増え、営業利益は合計70万円減っています。

当月の計算は「1,200-840=360万円」「360-330=30万円」です。売上の増加だけを見て「順調」と判断すると、利益が減ったことを見落とします。

利益額と一緒に、利益率も比べる

売上総利益率は「売上総利益÷売上高×100」で求めます。この例では、前月40.0%に対して当月30.0%です。営業利益率も同様に営業利益を売上高で割り、前月10.0%、当月2.5%となります。

利益額は残った金額、利益率は売上に対して利益がどれだけ残るかを見る指標です。両方を見ますが、この数字だけで「何%以上なら優秀」とは決められません。事業の特性や自社の計画、継続している傾向を合わせて確認します。

表だけでは、原因までは確定できない

この表から分かるのは、粗利の減少と販管費の増加が営業利益を押し下げたことです。値引きが原因か、仕入価格が上がったのか、利益率の低い商品の割合が増えたのかまでは、この表だけでは分かりません。

すぐに「営業が値引きしすぎた」「経費を削るべきだ」と結論づけず、商品・案件ごとの内訳や費用明細で仮説を確かめます。一時的な費用と毎月続く費用も分けて見てください。

自分の部門では、数字の差を仕事の動きへ戻す

会議へ出る前に、差が大きい項目について次の質問を用意します。最初からすべて調べるのではなく、判断に影響するものを選びましょう。

変化自分の部門で確認すること
売上高が変わった販売数量、単価、商品・顧客の構成、計上時期のどこが変わったか
粗利率が下がった値引き、仕入単価、原価の増加、商品構成の変化がないか
販管費が増えた何の費用か。一時的か継続的か。計画に含めていたか
計画と実績がずれた数量や単価など、計画を置いた前提が変わっていないか

たとえば先ほどの例なら、「粗利が40万円減った理由を案件別に確認し、販管費30万円の増加について一時費用と継続費用を分ける」が次の行動になります。数値を読み上げるだけでなく、確認先と次の判断を添えます。

売上を直接持たない人事・総務などの部門なら、無理に売上目標へ置き換える必要はありません。担当する費用の内訳、予算との差、支えている業務、品質や処理時間との関係を確かめます。削減額だけで、必要な支援まで減らす判断をしないようにしてください。

会社全体のP/Lと、部門別の管理資料は同じとは限らない

会社全体の損益計算書に対し、社内で部門の判断や業績管理に使う資料は、部門ごとの売上・費用を独自の区分で整理していることがあります。そこに書かれた「部門利益」「貢献利益」などを、会社の営業利益と同じ意味だと思い込まないことが大切です。

また、本社や共通システムなどの費用を、社内の基準で各部門へ割り振る場合があります。この割り振りが「配賦」です。中小機構の原価計算と原価配賦の解説では、配賦する費目を整理し、その費用に合う基準を決めて割り当てる考え方が示されています。

部門の支出が変わっていなくても、共通費の総額や配賦基準が変われば、部門資料上の利益が変わることがあります。自分の部門の改善を考える前に、次を確認してください。

  • 自部門へ直接計上した費用と、配賦された費用は分かれているか
  • 共通費は何を基準に割り振っているか。前期と基準は同じか
  • 表示された利益は共通費の配賦前か、配賦後か
  • 部門間の取引や人員の異動を、どのように扱っているか
  • 自分の権限で変更できる費用と、全社で決める費用はどれか

配賦は費用をどこへ割り振るかの話なので、割り振り方だけを変えても会社全体の費用が減るわけではありません。部門の数字をよく見せることと、会社として利益を改善することを混同しないようにします。

数字を読んだ後は、計画と行動へつなげる

確認した結果を「利益が減った」で終わらせず、何を変えるか、誰と決めるか、いつ結果を見るかを整理します。商品構成や価格を変える場合も、自分の権限だけで動かせる範囲を確認してください。

計画へ落とし込む手順は、部門の年間計画の立て方で、施策・人員・予算とつなげられます。行動や途中の変化を追う指標は、チームKPIの設定方法で整理してください。

会計の言葉にまだ慣れていないなら、まず今回の架空の表を自分で計算し、売上増・利益減の理由を説明してみましょう。その上で体系的に学ぶ場合は、仕訳の暗記だけでなく、損益計算書の読み方や数値例の演習を扱う教材かを確認すると、目的とのずれを避けやすくなります。

損益計算書を見ても施策の判断に結びつかないなら、数字を読む演習がある講座も候補です。下のリンクでUdemyを開き、「損益計算書」「管理会計」で検索してみてください。仕訳の練習が中心か、売上・費用・利益を使った判断例まで扱うかを確認し、今の仕事で使いたい方を選びましょう。

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次の会議では、「どの利益を見ているか」「何と比べて変わったか」「原因を確かめるために何を見るか」の三つを準備してみてください。数字が苦手でも、分からない定義を確認し、仕事の動きへ結びつけるところから始められます。

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