リモートワークを前提に生活を組んでいたのに、突然「来月から原則出社」と言われた。通勤時間が戻るだけでなく、送迎、家事、家族の予定まで組み直さなければならない。仕事そのものが嫌になったわけではないからこそ、転職を考える自分に迷うこともあるでしょう。
リモートワークの廃止をきっかけに転職を考えても、おかしくありません。ただ、まずは変更の範囲と生活への影響を確認し、今の会社で調整できることと、外で探したい条件を分けると判断しやすくなります。
この記事では、出社回帰の通知を受けたときに聞くこと、上司への相談例、次の会社で「リモート可」の実態を確かめる質問を整理します。
つらいのは「出社」そのものか、生活が成り立たなくなることか
「みんな出社するのだから」と言われると、自分だけがわがままなのかと感じるかもしれません。けれど、会社までの距離や家庭の事情は、一人ひとり異なります。毎日出社する変更が、小さな不便で済む人と、生活の組み直しになる人では、負担が違います。
最初に、困っていることを具体的な場面にします。「出社が嫌」だけで止めず、何が続けにくくなるのかを書いてみてください。
- 通勤に時間がかかり、子どもの迎えに間に合わない
- 家族の介護と両立していた時間帯が埋まってしまう
- 通勤後は疲れてしまい、休養や睡眠の時間が取れない
- 集中して作業できる時間が減り、残業が増えそうだ
- 在宅勤務を前提に住む場所を決めていた
次に「譲れない条件」と「調整できる条件」を分けます。例えば、毎日在宅でなければ難しいのか、週に二日の在宅と時差出勤があれば続けられるのかでは、相談も求人探しも変わります。この日数は例なので、自分の事情に置き換えて考えましょう。
「廃止」と聞いたら、適用範囲・時期・相談先を確認する
社内の会話で「リモートは禁止になるらしい」と聞いただけなら、まず正式な通知を確認します。「原則出社」と「例外なく全員出社」は同じ意味とは限りません。一方で、上司が口頭で大丈夫と言っていても、正式な制度と食い違うことがあります。
| 確認項目 | 質問の例 |
|---|---|
| 対象 | 今回の変更は全社員が対象ですか。職種・拠点・部署で運用は違いますか。 |
| 出社頻度 | 毎日出社になるのか、特定の日を出社日にするのか、どちらですか。 |
| 開始時期 | いつから適用されますか。家庭の調整が必要な場合、移行期間を相談できますか。 |
| 個別事情 | 育児・介護・通院などの事情がある場合、相談窓口や申請手続きはありますか。 |
| 代替策 | 時差出勤、勤務日による調整、サテライトオフィスなどは利用できますか。 |
| 決定権 | 直属の上司だけで判断できますか。人事の承認が必要ですか。 |
入社時の労働条件通知書、雇用契約書、就業規則、今回の通知も確認しておきましょう。厚生労働省のテレワークガイドラインでは、勤務場所などの労働条件の明示や、テレワークのルールを定めて周知することが扱われています。自分にどの条件が適用されているかを確認する手がかりになります。出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
通知の内容だけで、変更が法的に有効か、出社を拒否できるかを一律には判断できません。約束されていた勤務条件との違いが解消しない場合は、関係する書面を整理して、総合労働相談コーナーなどへ相談してください。
上司には、支障と仕事を続けるための案をセットで伝える
調整を相談するなら、仕事への支障、必要な配慮、業務をどう進めるかをまとめて伝えます。出社の目的が分かっている場合は、その目的を満たせる代案も考えます。対面での連携が目的なら、チームの出社日に合わせる案などが考えられます。
次は、育児との両立が難しくなる場合の相談例です。実際の事情と、会社で選べる制度に合わせて使ってください。
来月からの出社方針について相談があります。毎日出社になると、現在の保育園の迎えの時間に間に合いません。週二日は在宅、出社日は始業と終業を早める形を検討いただけますか。打ち合わせはチームの出社日に合わせ、連絡が取れる時間と進捗報告の方法も決めたいです。
すぐに認められなくても、「何が難しいのか」が分かれば次の案を考えられます。上司に権限がないのか、特定の業務があるからなのか、制度上の対象外なのかを確認しましょう。
試行することになったら、期間、出社日、連絡方法、見直し日をメールなどで共有しておくと、後から認識がずれにくくなります。業務上必要な範囲を超えて、家庭の詳しい事情まで職場全体へ説明する必要はありません。必要な情報は相談担当者と確認してください。
残るか転職するかは、調整後の生活で比べる
転職を考えるときは、変更前の理想的な在宅勤務と、今の会社の最も厳しい条件だけを比べないようにします。社内調整後に続けられる働き方と、実際に見つかった他社の条件を並べることが大切です。
| 選択肢 | 確認したいこと |
|---|---|
| 今の会社で調整する | 必要な在宅頻度や出勤時刻を確保できるか。例外措置はいつまで続くか。 |
| 社内で仕事や部署を変える | 異動先に制度があるだけでなく、実際に利用できるか。仕事内容は続けたいものか。 |
| 他社への転職を調べる | 希望する働き方の求人があるか。収入・役割・雇用条件も納得できるか。 |
「週五日の出社は続けられないが、週二日なら今の仕事を続けたい」と分かれば、選択肢はかなり絞れます。反対に、調整しても生活が成り立たないなら、社外の情報収集を進める理由になります。退職を先に決める必要はありません。
40代・50代で、収入や責任も含めて条件を整理したい方は、転職を決める前に相談するための準備を参考に、「出社頻度は変えたいが、仕事内容や収入はどこまで維持したいか」を言葉にしておきましょう。
次の会社は「リモート可」の一言で決めない
求人票に在宅勤務の記載があっても、入社後すぐ使えるとは限りません。担当業務、配属先、試用期間、上司の承認などで運用が変わる可能性があります。応募前に制度を調べ、選考では自分が働く部署の状況を確認します。
面接で聞きたい五つの質問
- 配属予定のチームでは、直近は週に何日程度出社していますか。
- 入社直後や試用期間は、通常と異なる出社ルールがありますか。
- 在宅勤務の利用は、誰がどの条件で判断しますか。
- 出社日は固定ですか。繁忙期や会議のため、追加出社が必要になる場面はありますか。
- 勤務方針が変わる際は、どのように説明や個別相談が行われますか。
「制度はありますか」だけでなく、「自分が入るチームではどう使われていますか」と聞くのがポイントです。勤務条件が決まる段階では、合意した内容が書面にどう記載されるかも確認します。将来まったく変更されない保証を求めるのではなく、現在の条件と変更時の扱いを理解しておきましょう。
こうした質問を含め、職場の実際の働き方を確かめる方法は、企業文化を面接で確認する質問でも紹介しています。
社員の口コミは、面接で確かめる質問を見つけるために読む
「制度はあるが部署による」「以前は在宅中心だった」といった投稿が見つかる場合もあります。気になる記述があれば、投稿時期や職種を確認し、今の配属予定先でも当てはまるかを聞く材料にします。古い投稿一つで「この会社も廃止する」と決めつけないでください。
候補企業が見つかったら、転職口コミの見方を参考に、制度の説明と利用者の話を照らし合わせてみましょう。口コミが見つからないこともあるので、公式の求人情報や面接での確認を省かないことが大切です。
まずは正式な通知を読み、今回の変更で困ることと、続けられる条件を一つずつ書き出してください。「出社が嫌な自分を変えるべきか」ではなく、「どの働き方なら仕事と生活を続けられるか」を考えるところから始めましょう。

