「今の職場を離れたい。でも、転職してもっと困ることになったらどうしよう」。40代・50代での転職では、仕事内容だけでなく、家計や役割、これから働く期間も気になりやすいのではないでしょうか。
転職後の後悔を調べるときは、順位だけでなく「自分なら何を確認しておくか」まで考えることが大切です。この記事では、転職経験のある40〜59歳の正社員2,000人への調査をもとに、後悔した点のランキングと、応募前・面接・内定後に確かめたいことを整理します。
なお、同じ調査で後悔した点が「特にない」と答えた人は46.7%でした。転職すると後悔する、という結果ではありません。今の職場に残る場合の負担も含め、自分に合う選択を考えるための材料として使ってください。
40代・50代の転職で後悔したことランキング
以下は、産業雇用安定センターが2025年10月に実施し、同年12月に公表した調査の「転職して後悔した点」を整理したものです。対象は過去10年以内に転職経験がある40〜59歳の正社員2,000人。複数回答のため、割合の合計は100%になりません。
| 順位 | 具体的な後悔の内容 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 給与・待遇が期待以下だった | 18.1% |
| 2位 | 人間関係に問題がある | 14.8% |
| 3位 | 会社の将来性に不安を感じる | 13.9% |
| 4位 | ワークライフバランスが悪化した | 10.3% |
| 5位 | 通勤がきつくなった | 9.6% |
| 6位 | 仕事内容が合わない | 9.1% |
| 7位 | 経験やスキルを十分に生かせない | 7.0% |
表は具体的な後悔7項目を回答割合の高い順に示しています。別に「その他」4.7%、「特にない」46.7%という回答があります。分母は後悔した人だけではなく回答者全体です。項目名は意味を変えず一部短縮しています。
出典:公益財団法人産業雇用安定センター「転職経験のあるミドルシニア世代の転職に関する意識調査」、結果概要・図13(PDF)。民間調査会社への委託によるWEB調査。
これは2025年に転職した人だけの調査でも、全年代を代表する調査でもありません。また、各項目の重大さを点数化したものではないため、回答の少ない条件を軽視する必要はありません。
1位の給与・待遇は「年収総額」から一段深く確認する
提示された年収に納得していても、その内訳や翌年以降の条件が分からなければ、生活の見通しは立てにくいものです。40代・50代では、役職の変化に伴う手当や、今後の働き方も一緒に考えたいところです。
確認例としては、「提示年収のうち毎月固定で支給される部分はいくらですか」「賞与はどのような条件で変動しますか」「今回の役割で、入社後にどの成果を評価しますか」といった質問があります。面接で説明を聞き、内定後には自分に提示された条件を書面と照合します。
現在の年収と提示年収だけを並べず、最低限必要な収入、受け入れられる変動、働き方の希望を分けてみましょう。整理の方法は50代の転職で年収・役職・仕事内容の優先順位を決める方法で紹介しています。
人間関係は「雰囲気がよさそう」で終わらせない
面接で話しやすかったことは参考になりますが、日々一緒に働く上司やチームの関わり方までは分かりません。「人間関係はよいですか」と聞くより、仕事上の場面を指定した方が比較しやすくなります。
- 意見が分かれたときは、誰がどのように判断していますか。
- 中途入社者が仕事に慣れるまで、誰に相談できる体制ですか。
- 上司と進捗や困りごとを話す機会は、どのように設けていますか。
これらは、ジョブメが提案する確認例です。模範的な回答を引き出すことよりも、自分が働く姿を具体的に想像できるかを見てください。たとえば、自分は途中で相談したいのに、入社先では成果が出るまで基本的に任せる方針なら、善し悪しとは別にすり合わせが必要です。
将来性への不安は、自分の役割と事業の関係から考える
企業の将来を確実に予測することはできません。それでも、募集背景と、自分の役割が必要とされる理由を確認することはできます。
「今回の採用は欠員補充ですか、事業拡大に伴う増員ですか」「入社後半年から1年で期待する成果は何ですか」「その成果に必要な体制や予算はどうなっていますか」。公開されている事業情報と、面接での説明を照らし合わせるための質問です。
管理職として採用される場合は、肩書きだけでなく、担当する範囲・意思決定できること・他部署の協力が必要なことを分けて聞くと、責任だけが大きくなる事態を想定しやすくなります。
働く時間と通勤は、平日の一日を再現してみる
残業時間の平均だけでは、自分の生活と両立できるか判断しづらいことがあります。配属予定部署の繁忙期、休日対応、出社頻度など、生活に影響する条件を具体化しましょう。
たとえば、週に何回出社するのかによって、同じ片道1時間でも負担は変わります。乗り換えや混雑、家族の予定との調整も含め、出勤から帰宅までを書き出してみてください。通勤経路を確認するときは、通常の勤務時間帯で考えることがポイントです。
制度として利用できる働き方と、配属先で実際に利用している働き方は分けて聞きます。「在宅勤務はできますか」に加えて「この部署では、どの業務を出社して行っていますか」と確認すると、日常の働き方に近づきます。
仕事内容と経験の生かし方は、入社後の具体的な仕事で確かめる
「経験を生かせます」「裁量があります」という言葉だけでは、双方のイメージが一致しているとは限りません。初めに任される仕事と、半年後に期待される状態を具体的に聞いてみましょう。
自分からも、「これまで担当したのは企画から実行までで、特に改善案を現場に定着させる仕事をしてきました。今回もその部分を担う想定でしょうか」と、経験の中身を伝えます。役職名や業界名だけで判断するより、すり合わせがしやすくなります。
期待と違う点が見つかっても、すぐに候補から外す必要はありません。新しく身に付けたい仕事なのか、避けたい負担なのかを分けて考えてください。
口コミ・面接・提示条件は、確認する役割を分ける
| 確認する場 | 主に確かめたいこと | 注意する点 |
|---|---|---|
| 応募前の企業情報・口コミ | 働き方や評価など、面接で聞きたい点を見つける | 投稿者の部署・在籍時期・職種によって経験が異なる |
| 面接・面談 | 自分が配属される組織、任される仕事、期待する成果 | 抽象的な説明は具体例を尋ねて補う |
| 内定後の提示条件 | 自分の給与・勤務条件・役割などの最終的な照合 | 口コミや口頭説明だけで確定したと考えない |
応募先が決まっているなら、口コミから「評価の仕組み」「残業が増える場面」など、確認したい論点を拾う方法があります。ただし、一つの悪い口コミを会社全体の事実として扱うと、かえって判断を誤ることがあります。
転職口コミの見方と、転職会議を使う前に確認したいことでは、投稿の読み分けと面接での質問への変換を解説しています。登録を検討する場合も、まず調べたい企業の情報があるか、必要な情報の閲覧条件は何かを確認しましょう。
応募前から内定承諾までを通した確認には、転職のリスク7つと内定承諾前チェックリストも使えます。
すでに転職を後悔している場合は、困りごとを一つずつ分ける
転職した後にこの記事を読んでいる方は、「確認しておけばよかった」と自分を責めているかもしれません。しかし、入社して初めて分かることもあります。まずは、判断を急ぐ前に今起きていることを整理しましょう。
- 事実を書く。「合わない」だけでなく、「想定した仕事と違う業務が週の大半を占める」など、困っている場面を記録します。
- 入社前の説明と照合する。違いがあるのか、説明が曖昧だったのか、自分の希望が変わったのかを分けます。
- 相談する内容を決める。担当範囲の確認、優先順位の調整など、まず確認・相談できることを一つ決めます。
慣れることで変わる部分と、条件や体制を変えないと改善しない部分は同じではありません。相談後も負担が続く場合は、生活への影響や選択肢を改めて整理します。心身の不調やハラスメントなどがある場合は、我慢や仕事の工夫だけで解決しようとせず、社内外の相談窓口や医療機関などにつながってください。
ランキングから、自分が確認することを三つ選ぶ
転職で後悔した内容をすべて同じ重さで確認する必要はありません。自分にとって影響の大きい条件を三つ選び、それぞれを「誰に・いつ・何を聞くか」に変えてみてください。
たとえば「給与が心配」なら提示額の内訳、「人間関係が心配」なら相談や意思決定の場面、「経験を生かしたい」なら初めに任される仕事です。ランキングは判断の答えではなく、見落としている確認事項を見つけるために使いましょう。

