生成AIに文章を作ってもらったのに、一般論ばかりで使えない。「もっと具体的に」と頼むと今度は余計な条件が加わり、結局自分で書き直している。便利なはずなのに手間が増えると、何を直せばよいか迷いますよね。
回答が仕事で使えないときは、指示を長くする前に「何が合っていないか」を分け、足りない前提と直す範囲を伝えます。最後に、元の情報と照らして確認するところまでを一つの作業にしてください。
この記事では、社内連絡文などの下書きを例に、指示の直し方と確認方法を紹介します。特定のサービスの機能や有料プランを前提にしない、文章作成の実務上の工夫です。
「使えない」を四つに分ける
回答を読み、まずどの問題が大きいかを一つ選びます。全部を「いい感じに直して」でまとめると、残したかった部分まで変わることがあります。
| 困っている状態 | 確認すること | 修正の方向 |
|---|---|---|
| 一般論だけで実務に合わない | 目的、相手、作業の場面を伝えたか | 使う場面と必要な情報を補う |
| 事実や条件が違う | 元情報が足りない、または追加されていないか | 確定事項を示し、未確定を補わせない |
| 長い、形式が違う | 利用場所と欲しい形が決まっているか | 見出し・項目・分量の目安を指定する |
| 言い方が強い、相手に合わない | 誰から誰への連絡か伝えたか | 関係と求める行動を説明する |
たとえば日時が間違っているなら、丁寧な表現へ直す前に日時を確かめます。文章が滑らかでも、仕事の条件が違えばそのまま使えません。
目的・相手・確定情報・出力の形をそろえる
指示文には、まず次の四つを入れます。毎回すべてを長文で書く必要はなく、今回の判断に必要な情報を選んでください。
- 目的:読んだ人に何を理解・実行してもらいたいか
- 相手:誰に向けたものか、何を既に知っているか
- 確定情報:必ず残す日時、条件、手順。分からないことも分ける
- 出力の形:メール、チャット、箇条書きなど、どこで使うか
IPAが公開する「ツール利用」の学習教材(PDF、16〜17ページ)でも、目的や背景、詳細、形式を伝えることと、出力を信頼できる情報で確認することが示されています。
社内の機密資料や個人情報を未承認の外部サービスへ送らないでください。業務利用では、会社が認めた環境と入力できる情報の範囲を確認します。練習には、以下のような架空の情報を使えます。
架空の社内連絡文で、指示を直してみる
ここからの指示文と文例は、違いを説明するための架空例です。特定サービスを実測・比較した出力ではありません。
場面が分からない指示
社内勉強会のお知らせを、分かりやすく作ってください。
これだけでは、誰が参加するのか、何を知らせたいのか、参加は必須なのかが分かりません。AIに日時や参加条件まで考えてもらうと、実際に決まっていない情報が文章に混ざるおそれがあります。
確定情報と未確定情報を分けた指示
社内チャットへ掲載する勉強会の案内文の下書きを作ってください。
目的:参加を希望する社員に申込みをしてもらう。
対象:表計算ソフトの基本操作に慣れていない社員。参加は任意。
確定情報:開催は10月20日15時〜15時30分、オンライン。申込期限は10月16日。
未確定情報:参加URL、問い合わせ先。ここは[要確認]と表示してください。
形:短い見出し、概要、開催情報、申込みの案内の順。
注意:申込方法はまだ決まっていないため補わず、[申込方法を追記]としてください。効果の保証や架空の講師紹介は入れないでください。
「参加は任意」「申込方法は未定」のように、誤解されると困る条件を先に伝えています。未確定箇所を残す指示は確認しやすくするための工夫であり、誤りがなくなる保証ではありません。
目指す下書きの形
表計算の基本操作を学ぶ社内勉強会のご案内
表計算ソフトの基本操作に慣れていない方向けに、オンライン勉強会を開催します。参加は任意です。
日時:10月20日15時〜15時30分
参加URL:[要確認]
申込期限:10月16日
申込方法:[申込方法を追記]
問い合わせ先:[要確認]
上の文例は完成した告知ではありません。申込方法などを主催者へ確認し、[要確認]を解消してから配信します。曜日を加えるなら、開催年を含めてカレンダーで確認してください。
再指示は、残すものと直すものを分ける
一部だけ気になるときは、毎回全文を作り直すより、変更箇所を指定する方法があります。
日時、対象、参加が任意であることは変えないでください。冒頭の説明だけを2文以内に短くしてください。未確定のURL・申込方法・問い合わせ先は、今の確認表示を残してください。
「もっと魅力的に」だけでは、誇張した表現が加わるかもしれません。「参加を強制する言い方は使わない」「利点は確定している内容だけにする」のように、避けたい変化も具体化します。
修正後は、指定した部分だけでなく、変更しないよう伝えた日時や条件も見直します。指示に「変えない」と書いたことと、実際に保持されたことは別です。
送信・共有する前に、原文へ戻って確認する
AIに「間違いはありませんか」と聞き直すだけで確認を終えず、元の資料や決定事項と照合します。少なくとも次の項目を見ます。
- 数字、日時、名称が元情報と一致しているか
- 任意・必須、対象者、例外などの条件が落ちていないか
- 元情報にない約束、根拠、引用が追加されていないか
- 未確定情報を確定したように書いていないか
- 読み手が次に何をするか分かるか
出典や根拠が必要な説明は、示された資料が実際に存在し、内容を裏づけているかを確認します。調べ方は情報の信頼性を確認する検索の進め方、確認項目の残し方は仕事のチェックリストの作り方を参考にしてください。
下書きを受け取った人が使える状態にする責任は、AIへの指示文を作っただけでは果たせません。承認が必要な文書は、職場の確認手順を通してから使います。
直し続けるより、作業を切り替えた方がよい場合もある
何度も同じ修正をしているなら、指示の工夫だけで解決しようとせず、次を確かめます。
- 自分も完成条件を決められていないなら、依頼者や決定者へ確認する
- 元情報が不足しているなら、文章生成より情報収集を先にする
- 一文の修正なら、自分で直した方が負担が少ないか比べる
- 専門的な正しさを判断できないなら、担当者による確認を入れる
「AIを使ったか」より、確認を含めた作業全体が進んだかを振り返ります。導入前後の時間を比べる場合も、入力・修正・事実確認まで含めないと、手間が減ったかは分かりません。
一つの仕事で、指示と確認の型を残す
まずは、機密情報を含まない練習用の連絡文などで試してください。次に同じ種類の仕事をするときのために、「目的・相手・確定情報・出力形式」と「確認項目」をセットで保存します。
体系的に学びながら練習したい場合は、Udemyで生成AIの業務活用を扱う講座を探す方法もあります。利用するサービス、講座の更新時期、演習内容、情報管理や出力確認を扱っているかを見て、自分の仕事に合うものを選びましょう。
学ぶ範囲が広くなりすぎたら、仕事の課題から学ぶテーマを選ぶ方法を使い、まず一種類の成果物に絞ります。指示を試して終わりにせず、確認して使える状態にするところまで練習しましょう。
