近年では1on1(ワンオンワン)ミーティングを実施する企業も増えています。ざっくり説明すると定期的に部下と上司が1対1で行う面談(対話)のことです。
この記事では1on1ミーティングについての説明に加え、私が実践している1on1の手法を織り交ぜながら説明します。
1on1ミーティングとは
前述の通り、定期的に部下と上司が1対1でおこなうミーティングのことです。
目標面談や評価面談などとは別物です。1on1は週1回、隔週、月1回などの頻度で定期的におこないます(実施する目的、部下によって頻度は変わってきます)。
1on1ミーティングを実施する目的
1on1を実施する目的は以下の3つに集約されます
- 部下の成長
- 部下と上司の信頼関係を構築
- 部下のモチベーション向上
部下の成長
1on1は上司が部下の仕事の進捗確認を把握をするための場ではなく、「部下の成長」を主眼に置いた「部下のための面談」です。
部下と上司の信頼関係を構築
部下と上司の間に信頼関係がなければ、どんなに良いことを言ったとしても、心に響きません。
信頼関係を築くには接する時間の長さと質が重要です。上司は部下に対して、部下は上司に対しての理解度を高める必要があります。
1on1は部下の成長を目的としているので、以下のような点を意識しましょう。
- 部下のやりたいこと、なりたい姿(短期〜長期)
- 部下の価値観を知り、受け入れる
- 部下の困りごとに耳を傾ける
部下のモチベーション向上
信頼関係の構築と重複しますが、部下の困りごとを解消することでモチベーションを高めていってもらいます。
困りごとの種類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 将来のキャリア
- スキルアップ
- 仕事の進め方
- 対人関係
- 上司に対しての要望
1on1ミーティングの進め方
目的を理解したら、次は1on1の進め方です。
1on1は上司が知りたいこと、聞きたいことを満たす場ではありません。部下の成長のための場であることは前述の通りです。
そのためには部下からうまく情報を引き出すことが重要になってきます。
さっそく1on1ミーティングの進め方について、説明していきます。
1on1の流れを理解する
まずは1on1ミーティングの流れを理解しましょう。
- アイスブレイク
- 部下に相談事項を確認する
- 部下の話を聴く
- アドバイスをする
- 1on1のまとめ
大まかな流れは理解いただけたかと思います。
部下との関係性やその日に初めて会話するかなどによっても変わりますが、アイスブレイクで雰囲気を和ませましょう。
また、最後に1on1のまとめをすることで、終了後に行動してもらうための振り返りをおこないます。
1on1の事前準備をおこなう
上記の1on1の流れを理解した上で、事前に準備しておくと、1on1を有意義な時間にすることができます。
- 1on1面談の目的を事前に伝える
- アイスブレイクネタを用意する
- 部下のキャリアビジョンを把握しておく
- 部下から質問がなかった時のために質問を用意する
- 部下に関心を持つ
1on1面談の目的を事前に伝える
1回目を実施する前に1on1の目的を伝えておきましょう。
- 部下の成長を支援する場であること
- そのためのサポートをしたい
- 相談事項を考えてきてほしい
- 将来のキャリア
- スキルアップ
- 仕事の進め方
- 対人関係
- 上司に対しての要望 など
アイスブレイクネタを用意する
これは部下によって、刺さるポイントが異なります。仕事に関する情報や会社の中の情報、世の中の出来事、プライベートでの出来事などなんでも良いですが、雰囲気を和ませる目的を考えるとポジティブな話の方がよいでしょう。
私が使うネタの一例はこんな感じです
- この間のプロジェクトは大変だったのによくやったね
- あの案件のアイデアは面白かったよ
- 髪の毛切った?
よくメンバーを観察していないとわからないことを伝えることで、「ちゃんとみられているんだ」とか、「もっと頑張らないと」とモチベーションや信頼度を高めてもらうこともできます。
部下のキャリアビジョンを把握しておく
目標面談などの場で確認している場合は、部下がどのようなキャリアビジョンを描いているのかを把握しておきましょう!ちゃんと把握していることで「上司は自分のことを見てくれている」と感じ、信頼してもらう土台を構築することができます。
もし、把握していない時は、1回目の1on1ミーティングで確認してもいいでしょう。
部下から質問がなかった時のために質問を用意する
1on1で部下が「特に相談したいことがありません」と答えることがあります。
そんな時に慌てないようにするためにも、事前に質問を用意しておきましょう。質問は将来のキャリア、スキルアップ、仕事の進め方、対人関係などの軸で部下にこうなってほしいという点で投げかけてみるとよいでしょう。
例えば、「最近、●●という技術があるけど、うちの会社でも試してみたいんだよね。将来のキャリアと関係しているけど興味ある?」とか、「目標設定で掲げていた●●という仕事だけど、苦労している点はない?」などです。
上司からの質問は呼水のようなものです。あくまでも「部下から話を引き出すため」であることを忘れないでください。ベラベラといつまでも上司が一方的に話し続けていては、1on1の本来の目的を果たすことができません。
私は上記に加えて、上司(自分)に対しての要望を定期的に聴きます。メンバーに対して変わることを促すのではなく、自身も変わる・行動することを見せることで信頼度を高めたり、メンバーのモチベーションを高めるヒントを見つけることができます。
部下に関心を持つ
部下に適したアイスブレイクネタやこちらからの質問を考えたり、キャリアビジョンを把握しようとするためには必要なことですが、これは1on1に限った話ではありません。
成長してほしいという想いはもちろんのこと、部下という人間に対して関心を持つことが大切です。
1on1で部下が話しやすい雰囲気をつくる
部下が話をしやすい環境を整えるのも上司の役割です。3つの観点について説明します。
威圧感を与えない
- 声のトーンや大きさ
- 話すスピード
- 表情(笑顔)
特に地声が大きくて、早口の人は要注意です。本人にそのつもりがなくても、部下にまくし立てられているような印象を与えてしまいます。
聴く姿勢を態度で示す
- 部下のことを観察する
- 適度な相討ちを打つ
- 否定しない
よく観察すると、表情やしぐさから発言が本心なのかどうかがわかります。もし、発言内容としぐさが一致しない場合はその理由を探るようにしています。
また、「否定しない(良し悪しを判断しない)こと」が大切です。「なぜ、そう思ったのか?感じたのか?」を対話を通じて、聞き出すことで部下の内面を引き出すことができます。
日常のコミュニケーションを増やす
これは面談外の話です。
信頼関係が構築できていない場合は、部下が本音で話してくれません。日常のコミュニケーションを増やすことで、信頼関係を築きましょう。
- 適切な情報提供
- 雑談
- ランチや飲み会
- 早いレスポンス
- 褒める
この中では「早いレスポンス」が効果的です。メールやチャットなどで質問されたことに対して、すぐに反応するだけです。スピードが早いと仕事ができると感じてもらえるため、信頼されやすくなります。
実際にやろうと大変です。マネージャーには大量のメール・チャット、会議などで時間がありません。即断、即決、省力化で時間を捻出しましょう。
上記に加えて、私が実践しているのは「弱みを見せること」です。「上司も同じ人間なんだ」と感じてもらうことで、親近感を持ってもらえます。
具体的にはこんな感じです。
- メンバー時代には同じ悩みを持っていた
- 過去にこんな失敗をした
- プライベートでは怒られている
部下の相談へのアドバイス方法
部下のスキルや経験と相談内容に合わせて「コーチング(部下から答えを引き出す)」と「ティーチング(答えの出し方を教える)」を使い分けましょう。
また、部下のキャリアビジョンに合わせて、適切なフィードバックをすることが大切です。一方的に「こうあるべき!」と押し付けてはいけません。
その結果、以下のことを達成できれば1on1の目的を果たせていると言えます。
- 課題を明確に伝える
- 挑戦や学習などの行動を促す
- 行動に移せる明確なイメージをもってもらう
まとめ
私が1on1ミーティングを実施する目的とやり方はいかがでしたか?
長々と書いてきましたが、初めからうまくできる人はいません。
私自身もかれこれ6〜7年ほどやってきましたが、メンバーごとに特徴も悩みも違うので、相手に合わせてやり方を変える必要があります。
本文中にも記載しましたが、「部下に関心を持つ」ということが一番大切です。それが言葉と態度で部下に伝わるようにしましょう!
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