「四則演算」で画期的なアイデアを生み出す

ホワイトボードを使ってアイデアを整理するビジネスパーソン 仕事術

どのような職種でもアイデアを考える機会はあります。アイデアの種類は「経営」「事業」「サービス・商品」「営業」「オフィス環境」など多岐にわたります。

そして、誰にでも「アイデア」が出せなくて、行き詰まった経験はあるのではないでしょうか?

私は勤務先でアイデアを自身で考えたり、部下たちにアイデアを出してもらうことを仕事にしています。そんな私が実際に使っている方法をご紹介します。

アイデアを出す方法はたくさんありますが、この記事では「四則演算(加減乗除)」を使うことで、アイデアを生み出す方法について解説していきます。

四則演算でアイデアを出すとはどういうことか?

四則演算(加減乗除)とは、「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」のことです。アイデア出しでは、既存の商品・サービス・仕事を要素に分け、それぞれを増やす、減らす、組み合わせる、取り除くという4つの視点で変化させます。この記事では、この考え方を「四則演算アイデア法」と呼びます。

  • 足し算:量・機能・対象・場面を増やす
  • 引き算:量・機能・手間・時間を減らす
  • 掛け算:別の商品、技術、用途、顧客を組み合わせる
  • 割り算:要素を分離する、または一部を完全に取り除く

大切なのは、思いついた案をそのまま採用することではありません。複数案を出した後に、誰のどの問題を解決するか、実現できるか、期待する効果は何かを確認します。

基本の進め方は、①対象を決める、②要素を分ける、③四則演算で変化させる、④案を比較する、⑤小さく試す、の5段階です。要素を探す材料が足りない場合は、仕事の検索力を高める手順も活用してください。

ここからはカップヌードルを例に、四つの見方を練習します。まず実在する商品を見て、その後で自分の案を考えてみましょう。

カップヌードルを四則演算で捉え直す

以下は、既存商品の特徴を四則演算に当てはめた本記事での見立てです。開発時にこの方法が使われたと確認したものではありません。

視点実在する商品の例着目する要素
足し算カップヌードル ビッグ麺などの量を増やす
引き算カップヌードル ミニ一食の量を小さくする
掛け算カップヌードル カレーカップ麺とカレーの味を組み合わせる
割り算カップヌードルリフィル(過去の発売例)中身と、繰り返し使う調理用容器を分ける

商品名は日清食品の商品一覧、リフィルの仕組みは2007年の発売資料で確認できます。リフィルはここでは過去の商品例として扱います。

足し算・引き算:量を変える

「ビッグ」と「ミニ」を比べると、同じ商品でも量を変える視点が見えてきます。アイデアを考えるときは、「もっと量が欲しいのはどんな場面か」「少量なら使いやすいのは誰か」と問いを広げられます。まずは利用場面の違いに注目しましょう。

掛け算:別の要素を組み合わせる

「カレー」は、カップ麺に別の味の要素を組み合わせた例として捉えられます。業務でも「受付フォームと対応履歴」「会議と事前アンケート」のように、別々に使っているものを組み合わせる案を考えられます。

割り算:一体だった要素を分ける

リフィルは詰め替え用の商品で、繰り返し使う専用カップが用意されました。中身と調理用容器を分ける仕組みに注目すると、「毎回一式を用意せず、必要な部分だけ交換できないか」という問いにつながります。

自分で考える練習例:「カップヌードルから麺を取り除いたら、どんな食べ方になるか」。これは商品紹介ではなく発想練習です。スープとして飲みたい場面があるか、具材や味をどう変えるか、誰に確かめるかまで考えてみます。

四則演算アイデア法をうまく使いこなす方法

すでにある要素を増やしたり、減らしたり、掛け合わせたり、取り除いたりするためには要素分解する必要があります。このブログでは何度も出てきていますが、ロジックツリー を用いて整理しましょう。

例えば、カップヌードルは以下のように要素分解することができます。

  • 中身
    • 麺
      • 原料
      • 形状(太さ、長さ)
    • スープ
      • 調味料
        • 食塩
        • エキス(チキン・ポーク)
        • しょうゆ
      • 油
    • 具材
      • 卵
      • 謎肉
      • ネギ
  • 外身
    • 容器
      • 材質
      • デザイン
    • 包装
      • フィルム

このように分解することで、新たなアイデアを生み出すベースができます。

ここからは販売されている商品名ではなく、私が考えた練習用の仮の案です。例えば、麺を太くする(足し算)、油を減らす(引き算)、元の味を外してピザの風味を組み合わせる(割り算→掛け算)、麺だけにする(割り算)などが考えられます。

まあ、私が考えたこれらの商品が市場に受け入れられるかどうかはわかりませんが、1分もかからずに4案出せました。

掛け算を使いこなすには、組み合わせる要素の引き出しが必要です。顧客の行動、他業界の仕組み、新しい技術、社会の変化など、普段から幅広い情報に触れておくと案を増やしやすくなります。

たとえば、生成AI、オンライン会議、サブスクリプション、シェアリングといった要素を、既存の仕事やサービスへ掛け合わせてみます。ただし、流行語を加えるだけでは価値になりません。顧客の不便が減るか、品質・速さ・費用のどこが改善するかまで確認しましょう。

四則演算で見立てる既存の商品・サービス

ここで挙げるのは、実際の開発経緯を四則演算だけで説明するものではありません。完成した商品・サービスを、要素を足す・引く・掛け合わせるという観点で著者が見立てた例です。企画時の発想を検証する際は、顧客の課題、実現条件、一次情報も別に確認してください。

パッと目についたものを挙げてみました。

スマートフォン

今や誰もが持っているスマートフォン。

スマートフォンは、携帯電話にパソコンやカメラ、音楽プレイヤー、ゲームなどの要素を組み合わせたものとして見立てられます。実際の開発には技術・デザイン・通信環境など多くの条件があり、この見立てが開発経緯そのものを示すわけではありません。

携帯電話も、据え置き電話から「線でつながる制約」を取り除いたものとして見立てられます。もちろん、実際には無線通信や電池など、別の技術が必要です。

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、短い文章を中心に情報を発信・共有するサービスです。

登場当時は「ミニブログ」とも呼ばれ、長い記事を書く負担を引き算し、短文をすぐに共有する仕組みとして説明できます。現在は画像・動画・長文などの機能も増えていますが、サービスの出発点を考える例として有効です。

新しいアイデアを考える時は、足し算や掛け算で考えがちですが、要素を減らす、取り除くことでもヒットサービスを生み出すことはできます。

逆に機能を付け加えすぎてカオスになっているのが、テレビのリモコンです。なんでもかんでも要素を増やすことがよいというわけではありません。

リラックマ

最後は私が大好きなリラックマ。癒しを与えてくれます。

私には、クマの姿にリラックスした雰囲気を掛け合わせたキャラクターとして見えます。ここでも、制作経緯ではなく、見た印象を四則演算で捉えています。

コリラックマと並べて見れば、大きさや色など、どの要素が違うかを考える練習にもなります。

キャラクターの魅力を一つの式に決めつける必要はありません。同じものを見ても、人によって違う要素を挙げられるところが、この練習の面白さです。

アイデア発想の原理を学ぶための一冊

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既存の要素を足す・引く・掛け合わせる・分けるという本記事の方法を、より基本的な発想原理から捉え直したい人には、ジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』が参考になります。アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである、という考え方を短く学べる古典です。

たとえば業務改善なら、「問い合わせの一次回答を足す」「承認段階を一つ減らす」「受付と履歴を組み合わせる」「複雑な作業を二つに分ける」と書き出し、利用者・費用・品質への影響を一つずつ確かめます。

まとめ

「四則演算」で画期的なアイデアを生み出すはいかがでしたか?

まとめるとこんな感じです。

  • 四則演算でアイデアを出す
    • 足し算→ベースの要素を増やす
    • 引き算→ベースの要素を減らす
    • 掛け算→新たな要素を掛け合わせる
    • 割り算→ベースの要素を取り除く
  • 既存の商品を四つの視点で捉え直す

四則演算アイデア法は、案を広げるための補助線であり、万能ではありません。

特に、前提そのものを変える発明や、まだ要素として認識されていない技術を生み出す用途には向きません。また、出した案が顧客に選ばれるかどうかは別途検証が必要です。

一方、既存の商品・サービス・業務を改善する場面では、短時間で複数案を出す方法として使えます。案を絞るときは、判断基準を決めて選択肢を比較する方法も参考にしてください。

手法を身につけるには、身近なヒット商品を「四則演算」で説明する練習が有効です。正解を当てるのではなく、要素を分け、複数の見方を増やすことを目的にします。

まずは、身近な商品や自分の定型業務を一つ選び、構成要素を5つ以上書き出してください。それぞれに足し算・引き算・掛け算・割り算を当て、最低4案を出した後、解決する問題と実現可能性で比較してみましょう。

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