マネージャーになると成果が出せなくなる人の原因

仕事術

プレイヤーとしては活躍できていたのに、マネージャーになってから活躍できなくなる人を目にします。

担当する仕事が変わることにありますが、その仕事で成果を出すために「必要なスキル」が異なることに原因があります。

メンバー時代に獲得したスキルだけで仕事をしていてはダメなんです。それはわかっている人も多いかと思いますが、それでは具体的にどのようなスキルが必要なのかについて説明していきます。

この記事はマネージャーになりたての方やマネージャーになってから苦労している方に向けた内容になっています。

仕事で成果を出すために身に着けるべきスキル

仕事をする上で必要な3つのスキル

仕事をする上で必要なスキルは、3つに分けることができます。

  1. テクニカルスキル
  2. ヒューマンスキル
  3. コンセプチュアルスキル

各スキルの説明は以下の通りです。

スキル説明
コンセプチュアルスキル物事の本質を的確にとらえる能力
・課題発見
・困難課題対応
・情報収集
・問題解決
・対処法評価
ヒューマンスキル良好な人間関係を保ち、目標達成に向けた円滑なコミュニケーションを可能にする能力
・コミュニケーション能力
・統率力、調整力
・コーチング
・ファシリテーション
・交渉力
・提案力
テクニカルスキル与えられた職務や業務を正しく遂行するために欠かすことのできない能力
・職種特有の専門スキル
(エンジニアのプログラミング、デザイナーのデザイン力など)
・会社、部門特有の知識
BizHint(ビズヒント)の情報を元に加工

これらのスキルは職位によって、求められる比重が異なります。

カッツ理論とは

カッツ理論(カッツモデル)とは、スキルを上記の3つの「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」に、職位を「トップマネジメント」「ミドルマネジメント」「ロワーマネジメント」の3階層に分解し、それぞれの階層ごとに求められるスキルとバランスが異なることを提唱された理論です。

これはハーバード大学の経営学者ロバート・カッツにより提唱された考え方です。

以下の図を見ていただければ、さらに理解が進むかと思います。

職位が上にいくほどコンセプチュアルスキルが占める割合が増え、テクニカルスキルの割合が減っていることがわかるかと思います。一方で、ヒューマンスキルは階層によらず必要なスキルであることがわかります。

また、図には記載がありませんが、マネジメント層ではない、一般社員はテクニカルスキルの比重が高くなります。

強化するスキルを変えていく必要がある

メンバーからマネージャーになったタイミングで仕事で成果を出すために意識すべきスキルを切り替える必要があります。

強化するスキルを変えられないマネージャー

現場のメンバー時代はテクニカルスキルだけを磨き続けることで、成果を出せていたという人もいるかもしれません。また、カリスマ性の高いリーダーであれば「自分の背中を見てついてこい!」というスタイルで引っ張っていくこともできるかもしれません(ヒューマンスキルの一部はありますね)。

ただし、これにも限界があるので、自身の成長させるために強化するスキルを変化させていく必要があります。

メンバー時代の仕事をしていた方が部下にドヤ顔できますし、(プレイヤーとしての)成果を出せるので楽しいのはわかります。でも、あなたがマネージャーに任命されている理由を考えてみてください。

ちなみに「強化するスキルを変化をさせるタイミング=成果を発揮する場所を変えるタイミング」では痛みを伴うかもしれません。ここでいう痛みとは失敗です。今まで使ったことがないスキルを身につけ、それを使って仕事をするわけですから当然です。

しかし、そこから目をそらしているようでは、いま以上の成長はできません。マネージャーになった以上は腹を括って、その現実と向き合ってください。

向き合ってみた結果「いやいや、俺は自分の腕っ節ひとつで仕事をする」っていう人は、マネージャーには向いていないので、プレイヤーとして頑張る道を選択することをオススメします。その方が自身にとっても、メンバーにとっても幸せだと思います。

管理職はコンセプチュアルスキルだけ磨けばよい?

カッツ理論で説明したように、職位が上になればなるほど、コンセプチュアルスキルの比重が高まっていきます。前掲の図を見て勘違いをされることがありますが「管理職はコンセプチュアルスキルだけ磨けばいい」というものです。

当然、コンセプチュアルスキルを磨いていかないことには、経営層が求めてくる抽象度の高い課題や世の中にある課題を発見・解決することができません。

しかし、他のヒューマンスキルやテクニカルスキルも同様に磨く必要があります。

あくまで、各階層ごとに注力すべき比重が変わるというだけで、アップデートしなくて良いというわけではありません。

例えば、トップマネジメントとロワーマネジメントのヒューマンスキルのレベルをくらべた場合はトップマネジメントの方が高くあるべきだと考えています(個人差はあるとおもいますが)。

また、テクニカルスキルについても比重は下がるものの、部下に適切な指示をするうえでテクニカルスキルは必要です。過去のままアップデートできていないと、最適な指示を出せないということになってしまいます。

自身で1〜10までできる必要はないですが、指示できるレベルであり続けるためにテクニカル尽きるについてもアップデートしていく必要はあります。

プレイングマネージャーは?

プレイヤーとマネジャーの役割をもったプレイングマネージャーはどのように考えるべきか?についても説明していきます。

プレイングマネージャーをオススメしない理由

私自身の経験では「プレイングマネージャーはしない方がよい」という結論に至っています(ここでは特に半年以上継続して担当する場合について書いています)。

その理由は以下の3つです。

  1. 頭の切り替えが大変
  2. インプットすべきことが倍増する
  3. 頭の働きが悪くなる

それぞれについて説明していきます。

頭の切り替えが大変

これは人によるかもしれませんが、マネージャーとプレイヤーは使う脳味噌が異なるため、役割に応じて切り替える必要があります。

また、集中モードに入るまでに一定時間がかかるため、プレイヤーとしての時間、マネージャーとしての時間をうまく切り分けられればよいのですが、周りは自分に合わせて動いてくれるわけではありません。

部下は相談事があれば、プレイヤーとしての時間であっても相談してきますし、マネージャーとしての時間の時にプレイヤーとしてやっていた案件の確認が来ることもあります。

そこらへんをうまく割り切って、この時間は対応しないみたいな感じでできればよいのですが、私にうまくできませんでした。

また、自身がプレイヤーをやっていると「なんでこのメンバーは、これができないんだろう?」となってしまい、それなら自分でやってしまえと任せることができなくなってしまいます。

そうするとマネージャーの役割の一つである育成の一部が機能しなくなってしまうといったデメリットも起きてしまいます。

インプットすべきことが倍増する

次はインプット量を劇的に増やさないといけなくなることです。

きちんとマネージャーとプレイヤーの役割を果たそうとすると、コンセプチュアルスキル、テクニカルスキルともに強化する必要があります。限られた時間の中でやろうとするとどちらも中途半端になってしまいます。

その結果、マネージャーとしてもプレイヤーとしても微妙な人材になってしまうということが起こり得てしまいます。

頭の働きが悪くなる

これは業務量に比例して、疲労が蓄積されます。だんだん頭の働きが悪くなることで、マネージャーとしてもプレイヤーとしても切れ味の悪い人材になってしまいます。

これは気力と体力で乗り越えられるかもしれません。

逆に言えば・・・?

私が書いた3つの理由を乗り越えることができる人であれば、真のプレイングマネージャーとして成果を出せるかもしれません。

しかし、それだけの力と時間があるのであれば、マネージャーに特化した方がより大きな成果を上げられるかもしれません。

人それぞれの価値観にもよる部分もあるので、私がとやかくいうことではありませんが、一意見として捉えていただければ幸いです。

まとめ

マネージャーになると成果が出せなくなる原因について説明しました。

まとめるとこんな感じです。

  • 仕事で必要なスキルは3つ
    • コンセプチュアルスキル
    • ヒューマンスキル
    • テクニカルスキル
  • 各スキルは職位によって比重が異なる
    • 職位があがるとコンセプチュアルスキルの比重が増える
    • ヒューマンスキルの比重は変わらず
  • プレイングマネージャーは大変
    • 頭の切り替えが大変
    • インプットすべきことが倍増する
    • 頭の働きが悪くなる

3つのスキルそれぞれについて、どのように伸ばしていくのかを半年〜1年起きくらいに設定してみるとよいでしょう。また、あなたがマネージャーであれば、部下に対しても設定するように求めてみてください。

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