これまでに数百名の転職者の方と面接をしてきましたが、事前に準備してくる度合いは応募者ごとにかなり異なります。それは質問への回答内容から読み取ることができます。
「この質問は聞かれることがわかっているのに考えられていないなぁ。仕事においてもそういったスタンスなのかな?」と感じることがあります。現職の業務が忙しいなどの理由はあるかもしれません。しかし、他の転職者との比較で合否が決まりますので、そんな言い訳には意味がありません。
この記事では、中途面接で対策しておいた方がよいポイントをまとめました。
中途面接で聞かれる質問について
エン・ジャパン株式会社が約1万人に対しておこなったアンケート「「面接準備」実態調査」の結果から、中途面接で聞かれている質問をチェックし、面接官の観点で各質問の意図などを解説していきます。
うまく回答できなかった質問とは?
「聞かれたことがある質問とうまく回答できなかった質問」に「うまく回答できなかった率」を要素として追加してみました(「その他」は除外しました)。
「聞かれたことがある質問」として登場頻度の高い項目と「うまく回答できなかった率」はおおむね反比例の関係にあることがわかると思いますが、「何か質問がありますか?」と「自分の長所・短所」は、よく聞かれている割にはうまく回答できていない人が多いようです。
面接官の視点で対策すべき質問のポイントをアドバイス
先ほどのグラフに登場してきた質問を6つにグルーピングしてみました。それぞれの項目について面接官の視点でアドバイスをしていきます。
過去のあなたについて
自分の長所・短所
現職(前職)の仕事内容
仕事上での実績・成功体験
仕事上での失敗・挫折体験
最初は過去のあなたについて確認するための質問です。
これらの質問をする目的は、以下のようなものが挙げられます。
- どんな特徴・能力を保有しているのか
- それらを活かし、どんな成果を出したのか
- また、失敗や挫折をどう乗り越えてきたか
- それらは転職後にも再現可能なのか
入社後に活躍してくれるのかどうかを判断します。ここが刺さらなければ、ほぼ不合格になると言って間違い無いです。上記の観点できちんと整理し、できるだけ具体的な事例を語れるようにしておきましょう。
現在(転職活動)の背景を確認
退職理由
志望動機
次は、なぜ転職活動をしているのかを確認するための質問です。
退職理由については「転職理由ランキングを面接官の視点で解説する」と「転職理由は「本音と建前のバランス」と「一貫性」を意識する」の2つの記事にまとめていますので、そちらを参考にしてみてください。
ここでは、もう一つの質問である「志望動機」について解説していきます。
世の中にはたくさん会社があるなかから選んで応募してきてくれた理由を探り、応募者の価値観と会社の文化がフィットするのかどうかを確認する目的があります。
価値観には正解があるわけではないですし、面接で偽りの自分を演じて合格になったとしても、入社後にお互いが不幸になるためオススメはしません。
しかし、どうしても応募企業に入りたいということであれば、その会社のホームページや転職サイトなどに書かれている情報から「どんなことを大切にする会社なのか」「どんな雰囲気の会社なのか」などを把握し、その環境にマッチする自分になりきることですね。
繰り返しになりますが、嘘をついて入社できても幸せにはなれないので、自分の価値観とあった会社を探されることをオススメします。
未来のあなたの可能性について
入社後にやってみたい仕事
今後のキャリアプラン
今後、どこまで成長していくのかの伸び代を測る目的で質問をします。
今後のキャリアプランについては「パーソナルブランディングのススメ」を読んでいただければ、この質問の回答をつくるための考え方を理解できるようになりますので、参考にしてみてください。
ここでは「入社後にやってみたい仕事」について解説していきます。
まだ入社していないわけですから、どのような仕事があるのか詳細はわかりません。
応募企業の事業や募集要項に記載されている業務内容や期待されている役割などと自身のキャリアプランと重なる部分について語ってください。また、転職アドバイザー経由で企業に聞いてもらうのもオススメです。
「なぜ、そういった仕事をしてみたいのですか?」と追加で質問されるケースもありますので、具体的な過去の経験を添えて回答できるようにしておくとよいです(もしくは、入社後にやってみたい仕事を伝える際に一緒に伝える)。
退職・離職リスク確認
転職回数の多さ
在籍期間の短さ
離職期間の長さ
この質問項目はリスク確認になります。
まずは「転職回数の多さ」と「在籍期間の短さ」について。
どちらも退職リスクを測るための質問です。転職した理由や短期で転職をした理由次第ですが、私はそれだけでマイナス評価にはしていません。仮に転職回数だけで評価をする会社であれば、書類選考で落とすので面接まで進んでいないはずです。
マイナビ転職の「何回までOK?転職回数が多くても「内定」を勝ち取る方法」でも、私と同じようなことを言っていますね。
次に「離職期間の長さ」です。
私が面接で聞いたことのある離職期間が長かった理由には、以下のようなものがありました。
- 退職前の会社が激務だったのでリフレッシュするため
- 体調不良のための療養
- ただ単に次の会社が決まらない
- 親の看護
仕事人間の私は「リフレッシュと言っても、1ヶ月くらいあれば十分でしょ」って、私は思ってしまいます。また、もしかしたら体調不良のための療養期間だったのではないかと勘繰ってしまいます。
「体調不良のための療養」も、再発確率の高い病気(メンタル系の疾患)の場合は、能力が高かったとしても躊躇してしまいます。復職後に1年間以上安定して働けている実績がある場合は安心感が高まりますので、該当する場合はその点も伝えられると良いかと思います。
離職期間の長さを挽回するための回答例をネットで調べてみたところ、「資格獲得やスキルアップのための勉強をしていた」というものを見つけましたが、私には刺さりませんでした(相当、難易度の高い資格などであれば別ですが)。
面接官の私の視点では、いい回答が思いつきませんでしたが、経験豊富な転職アドバイザーであれば、よいアドバイスをしてくれる可能性もありますので、転職エージェントを利用されている場合は相談してみてください。
「離職期間が長い」こと自体をプラスに変えるのは難しいので、それ以外のところで挽回できるように考えましょう。
希望条件の確認
入社が可能な時期
希望年収
他社の選考状況
これまでの質問で入社して欲しいのかどうかを決めています。希望条件の確認では、自社の応募条件に合致しているのかどうかを確認するための質問になります。
面接官側の視点では「能力などは期待値通り、あと希望年収が50万円低ければ」とか、「あと1ヶ月入社可能時期が早ければ」、「この会社を受けているのか、相手はこんな条件を出してくるのかな」などと考えます。
よって、面接官はなんとか自社の募集条件に合うように条件交渉をしてきたり、他社と比べた際の自社の魅力を語ったりします。
転職者側に「なんとか内定が欲しい」と焦りがある場合は、希望条件を妥協してしまい、転職目的を満たすことができなかったなどとなってしまうケースも起きてしまいます。
そうならないためには、事前に譲れないポイントと妥協できるポイントをしっかりと整理しておくことが大切です。私がつくったチェックシートを活用してみてください。
その他
プライベート(趣味・ライフイベントなど)
「何か質問はありますか?」という質問
まずは「プライベート」について。
私の勤務先では、面接に関係のないプライベートについては聞かないように人事に言われているのですが、25%も聞かれている人がいるんですね。アイスブレイクの目的で聞いているのか、結婚や出産などのライフイベントについて聞いているのかなど気になるところです(この項目はお役に立てそうにないです)。
次に「何か質問はありますか?」についてです。
私も面接の最後に必ず聞くようにします。
応募者の疑問点を解消する目的で聞いていますので、これによって採用の可否を決めたことはありません。仮に「面接の中で十分にお話を伺えたのでありません」と答えられても、それで減点することはないです。
ちなみにリクナビNEXTの「「質問ありますか」と聞かれたら?人事にウケる面接逆質問集23」には以下のように記載されていました。
面接時に必ずといっていいほど出てくる「最後に質問があればどうぞ」というひと言。これは疑問に思っていることを聞けるだけではなく、実は自分を売り込むチャンス!
記載されている23項目をチェックしましたが、私はどの質問をされたとしても、それで評価が上がることはないですね(マイナスにもしません)。よって、本当に自分の知りたいことを聞くのがよいと思います。
ちなみに聞いたことがたくさんある質問ばかりでしたが、もしかしたら転職者はこのページを読んで事前準備しているのかもしれませんね(笑)
余談になりますが、質問コーナーでたまに見かけるのが、ノートやメモ帳を見ながら質問する光景です。
私は問題ないと思っています(目的は応募者の疑問点を解消することと考えているため)。一方で「それくらい覚えておいて欲しい」と感じる面接官がいるかもしれませんが、そんな非合理的な上司の下で働きたくないなと私は思ってしまいます。
最後に・・・
中途採用の面接で聞かれる質問と対策すべきポイントはいかがだったでしょうか?
事前に準備すべきことがかなり多く、自分で書き出してみて驚きましたが、転職するかどうかにかかわらず、自身のキャリアを考えるきっかけにもなり、強化していかないといけないポイントも明確になるため、定期的におこなうことをオススメします。
また、自分自身で考えることは非常に大切ですが、転職エージェントを活用することで、気づきを得ることもできますのでオススメです。
アドバイスに定評のある転職エージェントを紹介します。
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