仕事が速い人と仕事が遅い人を観察していると「決める」までの時間の差によるケースがあります。知識や専門的なスキルは同等レベルだったとしても、「決断力」の差によって仕事のスピードに大きな差が出てしまうことがあります。
あなたの決断の後工程で作業する人たちの仕事にも影響を及ぼしてしまいますし、早く決断するということは非常に重要なことです。
この記事では「悩んでいる時間を短縮できれば、もっと早く仕事を終わらせることができるのに!」という人に向けて、「意思決定を阻害する要因の洗い出し」、「それぞれの解決方法」について解説していきます。
意思決定を阻害する3つの要因とは?
まずは意思決定を阻害している要因を確認していきましょう。
- 情報
- 情報・知識が全然足りていない
- 取得不能な情報を追い求めている
- あらゆる情報を集めようとしている
- 情報を整理できておらず、論点が不明確な状態
- リスク評価
- 失敗リスクを高く見積もり過ぎる
- 時間軸を低く評価し過ぎている
- マインド
- 覚悟が足りていない
- 完璧主義でミスを許容できない
大きく「情報・知識」「リスク評価」「マインド」の3つの軸に分類してみました。
「言われてみれば・・・」と心当たりのある項目はありましたか?
決断力を高める方法
次に意思決定を阻害する要因について、一つずつ処方箋を出していきます。
情報
情報・知識が全然足りていない
意思決定するために必要な情報や知識が足りていないケースです。この状況では適切な意思決定をすることができません。
悩んでいないで必要な情報収集や知識の習得をしましょう。
情報収集は「わからないことは「検索力」で乗り切る」を、知識の習得は「勉強嫌いにオススメな「パラシュート勉強法」」の記事も参考にしてみてください。
取得不能な情報を追い求めている
よくあるケースのひとつに「取得不能な情報を追い求めている」ことが挙げられます。学生時代の勉強においては必ず答えが存在していることが影響しているのか、調べてもわからない答えを探し続けてしまう人がいます。
調べてもわからない場合は周囲に聞いてみてください。そこで情報が出てこないようであれば、仮説を構築する必要があります。
わからない部分が仮にこうだったら、こういう判断になるというものを2〜3つくらい出してみて、その中から一番それっぽいものを選択します。
実際に進めていく中で、その仮説が当たっていればOKです。もし、間違えていたことがわかれば、他の仮説、もしくは新たにわかった事実から新たな仮説を立てて進めてみてください。
あらゆる情報を集めようとしている
これも意思決定が遅いあるあるです。
情報収集は必要な工程ではありますが、それは意思決定するためです。
仮に5つの情報がわからない状態だったとして、3つあれば意思決定できるということであれば、残りの2つは調べる必要がありません。
情報収集することが目的になってしまわないように、心がけましょう。
情報を整理できておらず、論点が不明確な状態
情報の最後が「論点が不明確な状態」ということが挙げられます。
特に情報が大量にある場合はきちんと整理できておらず、意識があっちにいったりこっちにいったりすることで、混乱してしまいます。
意思決定するという目的を果たすために、何が揃っていれば可能になるのかを情報収集する前にロジックツリー で整理しておくと、情報が増えても混乱することを回避することができますし、無駄な情報収集をしなくて済むため時間の節約にもなります。
ロジックツリー に情報収集することができず、埋められない枝葉があった場合は仮説のものを入れておくとよいでしょう(別の色にしておくと仮説であることを認識しやすいのでおすすめです)。
リスク評価
失敗リスクを高く見積もり過ぎる
好んで失敗したい人はいません。
ただし、過剰に失敗を恐れ過ぎるがあまりに、意思決定ができなくなることがあります。
そんな人は「仮に失敗したらどうなるのか?」を考えてみてください。それと同時に「仮に成功したらどうなるのか?」も考えてみてください。
どちらも発生する確率が同じ場合は、成功した時のリターンが失敗した時のリスクよりも大きければ選択するといった感じで、自分の中でルールをつくっておくとよいです。
人間は無意識に「得をすること」よりも「損をしないこと」を選んでしまう傾向があり、損失回避の法則と呼ばれています。
これを頭で理解しておくことによって、自分が過剰に「損しないこと」を避けようとしていないかをチェックすることもできます(事前にルールをつくっておくこともしましょう)。
時間軸を低く評価し過ぎている
意思決定が遅延することのリスクを考えたことはありますか?
世の中は物凄いスピードで変化しています。意思決定が遅れたことによって、競合他社に先を越されるなんてこともあり得ます。
ところで、QCDという言葉を聞いたことはありますか?
Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字をとったものです。品質による失敗リスクは意識しているのに、納期の遅れによるリスクは意識できていないみたいということでは片手落ちです。
仕事によってこのバランスは異なってきますが、この基本的な3つを意識できるようになるとよいでしょう。
マインド
完璧主義でミスを許容できない
完璧主義を正すことは容易ではありません。
そんなあなたに読んでもらいたいのが、「仕事や家事…「完璧」ができないアナタへ。広瀬アリスが仕事で100点を目指さなくなったワケ」です。
記事のなかで広瀬アリスさんが、次のように語っています。
結局、「お前の考える“100点”なんて、たかが知れてんだぜ」ってことに気づけるかどうかだと思うんですよ。
どんなに自分の中で完璧にやろうとしても、上司や先輩から見たらレベルが不足していたり、ズレていたりするということです。
それだったら早く決めてしまって、顧客や上司などからフィードバックをもらった方が早く気づきを得られるため、結果的には早くゴールにたどり着けます。
覚悟が足りていない
ここまでの項目をクリアできているのに決めることができない場合は、覚悟が足りていないことが考えられます。
覚悟できるようにする視点としては、次の2つが考えられます。
- 失敗を恐れ過ぎない
- 選択した答えを正解にする
「失敗を恐れ過ぎないようにしましょう!」と言われても、「できるならやってるわ!」と返ってきそうですね。
いきなり大きな意思決定をするのではなく、小さな意思決定を積み上げていくことが大切です。そのためには自ら意思決定する機会を増やす必要があります。ちょっとしたことでもよいので、未経験のことに挑戦することです。
「新しい方法で仕事を進めてみる」「未経験の領域の仕事に挑戦する」「新たなスキルを身に着ける」「副業をしてみる」などなんでもよいです。ここで重要なのは「誰かに指示されたことを受け入れてやるのではなく、自分の意思で挑戦する」ことです。
最後は「選択した答えを正解にする」です。
ビジネスには答えのない問いがたくさんあります。そもそも、未来を予測して、完璧に当てることはできません。
パソコンの父と呼ばれるアラン・ケイ氏の名言があります。
未来を予測する最も確実な方法は、それを発明することだ
自身の選択した答え(=未来予測)を正解にする(=発明する)と捉えてみてください。
難しい意思決定であればあるほど、失敗のリスクは伴います。しかし、失敗しても次のチャレンジでそれを取り返すことはできます。
まとめ
決めることが苦手で仕事が遅い人に向けた処方箋はいかがでしたか?
まとめるとこんな感じです。
- 意思決定を阻害する3つの要因
- 情報
- リスク評価
- マインド
- 決断力を高める方法
- 情報
- 必要な情報・知識を収集する
- 取得不能な情報は諦める
- 必要最小限の情報収集を心がける
- 論点を明確にする
- リスク評価
- 失敗リスクを適切に評価する
- 期限の遅れもリスクと捉える
- マインド
- 自分の完璧主義を疑う
- 覚悟を決める
- 情報
繰り返しになりますが、ビジネスは答えのないケースも多いため、できるだけ早く意思決定をすることが重要です。フィードバックを顧客や上司や同僚からもらうことで、いち早く価値を世の中に提供することができますし、スキルアップするまでの期間を短縮することもできます。
いきなり変わることができなくても、少しずつ変わるための行動をしていきましょう!
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