あなたの市場価値を高めるための戦略立案

仕事術

ビジネスの世界において戦略というと、会社や事業において計画を立てる際に出てくる言葉です。

戦略とは文字の通り「戦い」を「略す」ことです。つまり、できるだけ少ないリソースで勝つ方法を計画することになります。ビジネスの世界では自社の商品やサービスが市場に対して、競合企業よりも受け入れられるにはどうしたらよいか?ということを考える際に戦略を立案します。

この記事では、戦略を商品・サービスから人へ、つまり「商品・サービス=あなた」と見立てて、自分自身が市場で受けれられるにはどうしたらよいのか?つまり、自身の市場価値を高める方法について説明していきます。

あなたの市場価値を高める戦略を立案する5つのステップ

あなたの市場価値を高める戦略策定の基本プロセス

まずは市場価値を高める戦略策定の全体像を以下の図で把握しましょう。

戦略策定の基本プロセス

聞き慣れない単語があるという人もいるかもしれませんが、あまり気にしなくて大丈夫です。ちなみにこのプロセスは会社で事業計画を策定する際にも用いられるものをカスタマイズしたものなので、覚えておいて損はないかと思います。

以下、勤務先の会社において自身の価値を高めるという観点で、記事を書いていきます。

1.キャリアビジョンを明確にする

まずは、キャリアビジョン(将来なりたい姿≒目標)を設定しましょう。

成功への近道は「興味のあること・やりたいこと」と「キャリアビジョン」が重なるようにすることです。自身の市場価値を高めるという目的ではありますが、自分の興味のないことをやり続けることは難しいです(=成果も出せない)。

キャリアビジョンのつくり方は「パーソナルブランディングのススメ」を参考にしてみてください。

2.自身が置かれている環境の分析をおこなう

キャリアビジョンを設定したら、次は環境分析です。3つの分析方法を説明していきます。

PEST分析(マクロ視点の外部環境分析)

PEST分析とは、「Politics(政治)」、「Economy(経済)」、「Society(社会)」、「Technology(技術)」の4つの頭文字から名付けられています。これらの外部環境を分析することで、現在と将来にどのような影響があるのかを把握する手法です。

自身の市場価値を高めるという観点でPEST分析をする際には、自身の職種や業務がどのような影響を受けるのかを考えてみてください。

特にこれから考えるべきは、AI(人工知能)RPA(ロボットによる自動化)の影響かと思います。職種や業務全てがAIやRPAによって奪われるなんて人もいるかもしれません。

それ以外にも、意識をした方がよさそうな観点をリストアップしてみました。ただし、務める会社の業種、あなたの職種・業務によって変わりますので、自分でも考えてみてください。

Politics(政治)法改正(規制緩和)、税制
Economy(経済)景気動向、消費動向
Society(社会)人口動態、流行・世論
Technology(技術)新技術、イノベーション、IT活用

世の中の変化からどういったスキルや知識を身につけていくべきかなどの大きな方向性が見えてくるかもしれません。

3C分析(内部・ミクロ視点の外部環境分析)

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」の3つの頭文字から名付けられています。

自身の市場価値を高めるという観点で3C分析をする際にも同様に、自身の職種や業務がどのような影響を受けるのかを考えてみてください。ここでは「3C」を以下のように解釈してください。

市場・顧客勤務先の会社や上司、価値の提供先
競合同僚社員
自社自分

会社や上司が求めている人材象やスキルを思い浮かべながら、競合に当たる同僚社員と自分を比較してみて、ここが狙いどころっていうポイントを見つけられればチャンスです。

SWOT分析

SWOT分析とは、「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4つの頭文字から名付けられています。

以下の表にPEST分析や3C分析などから得られた情報を元に整理し、分析する手法です。私の事例(詳細はこの記事の最後に書きます)を元に埋めてみました。

SWOT分析の具体例(自身の強み・弱み)

ちなみに強みや弱みは競争相手(同僚)と比べた際のものを書くようにしましょう。よくある間違いとして、自分の中においては相対的にできるけど、競争相手と比べると負けている(=弱み)を強みに書くケースがあるため注意が必要です。

もし、強みが見つからなければ、キャリアビジョンや市場環境、会社などで必要とされているものから強化ポイントを設定する必要があります。

3.戦い方を決める(STP)

STPとは、セグメンテーション(Segmentation)ターゲティング(Targeting)ポジショニング(Positioning)の3つの頭文字から名付けられた分析手法のことです。

以下のような2軸で表現された図をみたことをある人も多いのではないでしょうか?これはポジショニングマップというものです。意味のある縦軸と横軸を見つけるには慣れが必要なので、いろんな組み合わせを試してみてください。

ポジショニングマップ

もし、ポジショニングマップで空白エリアを見つけられたらチャンスかもしれません。私の事例では、「3」と「4」に強みを持った先輩社員がいたこともあり、同じ領域で戦うのは得策ではないと判断しました。

そこで企画力の高くない私が戦うのは「2」がよいだろうと判断しました。分析によって課題の大きなところを発見し、それを解消できそうなサービスを同業界、他業界問わず見つけてきて模倣することをやっていた感じです。

ちなみにポジショニングマップで誰も手をつけていない領域を「ブルーオーシャン」と言います。反対に競争が激化している領域をレッドオーシャンと言います。ブルーオーシャンになっている理由には、「価値があるけど気づかれていない、もしくはできない」、「価値がないから誰もやっていない」の2パターンがあります。

「ブルーオーシャンだ!」って飛び込んだけど、実は価値がないから誰もやっていなかったみたいな感じになるケースに陥らないように注意しましょう。

4.具体的なプランに落とし込みましょう

ポジショニングマップで狙いをつけた領域で、成果を出すための実行プランを考えていきます。

実行プランをまとめる上での枠組み(フレームワーク)を紹介します。

4P

Product(製品)あなたの提供価値(スキル・知識)
Price(価格)あなたの給料と同僚の給料の差
Place(流通)あなたが狙う市場
Promotion(販売促進)あなたの価値の伝達方法

私の事例ではProductは分析スキル、Priceは一番下っ端だったので給料は安かった(もし、同じ作業をするなら安い方が有利)、Promotionは上司や同僚に対して発信するという3つが該当していました。

ちなみにPlaceの例を営業職で考えてみると、周囲が大口顧客を狙っている人ばかりだったら、小口顧客を狙うとか、誰も狙っていないエリアを狙うなどが当てはまります。また、内勤の職種だと同僚や自分が今まで価値提供していた部門以外に目を向けるとかが考えられます。

差別化戦略

垂直的差別化
他の人と同じ領域においてスキルや知識レベルで勝負する戦い方です。評価の軸が限定されている場合にとる戦略です。価格差(給料)がなければ、評価対象のスキルや知識レベルが高い方が評価されます。

水平的差別化
同僚と違う領域において勝負する戦い方です。私の事例はこちらですね。評価の軸ややり方が限定されておらず、結果において評価される場合にはこちらの戦略も有効です。

5.実行する

具体的なプランを決めたら実行あるのみです。

半年〜1年置きくらいに、自身の立てた戦略が正しかったかどうかを振り返りするようにしましょう。自身による振り返りに加えて、上司や周囲の人からフィードバックをもらえるとベストです。

最後に・・・

自身の市場価値を高めるための戦略立案はいかがでしたでしょうか?

この考え方に慣れてきたら、勤務先の会社に限定せず、自身が所属する業界の転職市場など、より大きな世界に置き換えてみてください。転職するかしないかにかかわらず、自身の成長の幅を広げることが可能になります。

最後に私自身がメンバーだった時の事例を紹介します。

同僚社員には斬新な企画を考えるのがうまい人がいたのですが、この軸では勝つことが難しそうだと考えました。

その当時(10年以上前)、自社サイトのアクセス解析(ホームページの健康診断みたいなもの)はあまりされておらず(上司も重要性に気づいていなかった)、ここでチームの役に立てるのではないかと目をつけました。

結果として、施策の成功確率を高めることができ、評価されるようになりました。

ちなみに、当時の私はこの記事のように体系化して考えられていたわけではなく、アクセス解析がめちゃくちゃ楽しくて、ひたすらやっていただけです(笑)

そして、周囲に「アクセス解析なら自分に任せてください!」と発信したことによって、周囲にも認識してもらうことができ、そういった仕事や相談が集まるようになりました。

色々と小難しく書きましたが、この記事に書いてあることをきっちりと全てをやらなくてもよいので、できそうなところから試してみることが大切です。

以下の本は、私がこの記事の戦略立案を思いつくに至ったきっかけの本です。経営幹部を目指す人材が広く浅く学ぶには最適な本なので、よければ手に取ってみてください。

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