ツール導入と言っても、MA(マーケティングオートメーション)・アクセス解析、ABテスト、SFA(セールス・フォース・オートメーション)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など多数あります。
しかし、「導入直後のテンションがピークだった」、なんてことが多く発生しています。どんなにツールが高機能だったとしても、それがあなたの会社に必要なのかどうかは別の話です。
私自身もこれまでに各種ツールを総額で数億円以上導入してきましたが、いっぱい失敗も経験してきました(全く使われないツールもあり、失敗額は数千万円以上・・・)。
そんな私のツール導入・運用時の失敗事例を紹介します!
ツール導入・運用時における10の失敗事例
ツール導入編(5つの失敗事例)
①解決したい課題が不明確
一番ダメな失敗事例がこれです。
解決したい課題がない状態でツールを導入すると、失敗する確率が劇的に高まります。これが発生するケースはこんな感じです。
- なんとなく営業を受けて、他社の成功事例に踊らされる
- 社長や経営陣の人脈で紹介されて流れで導入
営業を受けて「ああ、確かにそんな課題もあるな」って洗脳されたりします。
本当にそれが解決すべき課題なのかを確認しましょう。
②KPIが不明確
解決したい課題がクリアになっても油断はできません。
KPIが不明確だと、導入後にうまくPDCAを回すことができません。
- ツール導入のゴールをできるだけ具体的にする
- それを測定するためのKPIを具体的に設定する
ゴールは売上アップやコンバージョン数アップなど普段事業で追っている目標値になります。それをどれくらい伸ばせると期待できるのかをシミュレーションしておきましょう。
次はKPIです。こちらも普段設定されている指標を設定すればよいでしょう。
売上であれば、訪問数や商談数、受注率、受注単価など。コンバージョン数であれば、流入数やコンバージョン率、問い合わせ単価など。
期待値とツールのコストを天秤にかけて、投資対効果を確認しましょう。
もし、投資対効果が見合わなければ、値引き交渉をしてみましょう。それでも厳しければツール導入を見送る方がよいでしょう。
③会社の戦略と合致していない
会社の戦略と合致していないと経営陣のサポートを受けづらいです。ツール導入にかかわらず、社長や役員などの経営陣のサポートを受けられるかどうかは、ツール浸透させる上では重要なポイントです。
導入前にリターンが得られることを経営陣へ根回ししておくことで、ツールへの期待値を高めておきましょう。
④実行部門の戦術と合致していない
ここまで来ても油断は禁物です。まだ、道半ばです。
現場の実行部門が動かなければ、優秀なツールも絵に描いた餅となってしまいます。
よくある失敗事例として「実行部門の戦術と合致していない」というものがあります。
そうならないためにも事前に社内の実行部門の戦術にアンテナを張っておくことが重要です。その戦術をサポートできるツールであれば、導入後の浸透をしやすくなります。
可能であればツールベンダーとの打ち合わせに、実行部門の責任者も巻き込んでおくとよいでしょう。理想を言えば、ツール導入部門とツール運用部門が同一であることが望ましいです。
私の過去の失敗事例では、ここで苦労しました。理由は以下のようなものです。
- ゴールは同じだけど、KPIが異なる
- 当初計画が変わることへの抵抗
コンバージョン数を増やすというゴールは同じでも、集客を増やすことで達成を目指す戦術とサイトを改善することで達成を目指す戦術ではKPIは全く異なります。
またツール導入はタイミングが大事です。
計画を策定した直後に「ツールを入れました使ってください!」と言われても、実行部門の気持ちがついてきません。ロボットであればロジカルに考えて動いてくれますが、人間を動かすためには気持ちを掴む必要があります。
⑤成果を出そうと言う意思がない
ツール導入の担当者が「上司に任されたから仕方なくやっている」という気持ちでは失敗します。
ここまで来たらツール導入の担当者は「絶対に活用して成果を出す」という強い意志を持ちましょう。ツールベンダーにもこちらの本気度を伝えることで巻き込むことができれば、成功確率を高めることができます!
ツール運用編(5つの失敗事例)
⑥ツールの専任担当を設置できていない
導入して満足しているようではダメです。やっとスタート地点に立てました。
新たなことをスタートする際には、推進する人がいないとダメですが、おそらくツール導入をしていた人が専任担当になるケースがほとんどだと思います。
ここでつまづくことはないと思いますが、気を引き締めていきましょう!
⑦実行部門を巻き込めていない
ここは導入部門と実行部門が異なる場合についてです。
よくある失敗事例として「実行部門を巻き込めていない」というものがあります。
ツール導入部門の専任担当が盛り上がっていても、実行部門にも火をつけることができなければ失敗してしまいます。
そのような自体に陥らないためにも、実行部門にもツールの専任担当をおきましょう。
また、理想としては、専任担当と仲が良いことが望ましいです。「あなたが言うならやってやるよ」って言われるような関係を各部門に1名ずついると最高です。これは日頃のコミュニケーション量がものをいいます。
専任担当が決まったら、ツール導入の目的とできること、期待効果などを丁寧に説明することが大切です。自分たちの仕事の成果を高めてくれるものだと思ってもらえれば、協力してもらえるようになります。
⑧ツールの活用支援をしていない
実行部門にやる気を出してもらっても手を抜いたらいけません。
よくある失敗事例として「ツールの活用支援をしていない」というものがあります。新しいツールに慣れるまでには時間がかかるものです。
ほとんどのベンダーが教育サポートを用意してくれているので、徹底的に活用しましょう。
⑨いきなり大きな成功事例をつくろうとする
よくある失敗事例として「いきなり大きな成功事例をつくろうとする」というものがあります。
大金を払ったのでホームランを打ちたくなる気持ちはわかります。でも、ちょっと待ってください。それを実現するまでにどれくらいの時間がかかりますか?
成功事例がつくれないと嫌になってきます。継続的に使われるようにするには「小さな成功事例を早期につくること」です。
そうすると「このツール使えるかも?」って周囲が思い始めるので、「ちょっと使ってみようかな?」って気持ちを動かすことができます。
そして、どんなに小さな成功事例でもよいので、ツールを使う可能性のある人たちに共有しましょう!その時にコツとして「●●部門(●●さん)では、こんな使い方で成果を出しました」とスポットライトを当てることで、もっとやる気を引き出すことができます。
更に、●●部門や●●さんのライバルがいれば「負けていられない!」って火をつけることもできます。
⑩ズルズルと惰性で使い続けてしまう
ここまで書いたことをやり切ってもダメなら契約を解除しましょう。
ズルズルと惰性で続けてはダメです。過去の投資を取り戻さないともったいないなんて思わないでください。
そして、なぜうまくいかなかったのかを必ず振り返ってみてください(うまく行った場合も同様に)。
ツールの機能や使い勝手の問題であれば、他のベンダーのもので解決できるかもしれません。途中で担当者を配置できなくなったのであれば、今のタイミングではなかったのかもしれません。また、解決したい課題が変わったのであれば、ツールが変わるのも当然です。
冒頭に書いたように、私は今までに数千万円以上は溶かしてしまっていますが、元気にやっています(笑)
次のチャンスを虎視眈眈と狙い、挽回しましょう!
まとめ
ツール導入で失敗しないためのチェックリストはいかがでしたか?
まとめるとこんな感じです。
- 導入編
- 解決したい課題を明確にする
- KPIをきちんと設定する
- 会社の戦略との整合性を確認する
- 実行部門の戦術との整合性を確認する
- 絶対に活用して成果を出すという強い意志
- 運用編
- 専任担当を設置する
- 実行部門にも専任担当を設置する
- 導入支援をしっかりする
- 小さな成功事例をつくる
- やり切ってダメなら契約解除する
ツール導入を成功に導くためには、多くの関係者を巻き込む必要があります。
部下のモチベーションを上げる方法も読んでみてください(部下ではないですが、考え方は同じです)。
みなさんのツール導入・運用の成功を祈っています!
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