転職理由ランキングを面接官の視点で解説する

転職

転職理由は面接時に必ず聞かれますし、職務経歴書に記載することもあるので、事前に理由を整理しておく必要があります。

私は今まで数百人の面接をやってきましたが、面接官からすると「この理由で転職するの?」っていうことを、応募者が回答しているケースがあるのも確かです。

転職理由ランキングの結果を利用しながら、面接官の視点で解説していきます。

気になる!?他の人の転職理由を確認する

転職理由=現職の悩みをランキングでチェック

dodaエン転職が発表した転職理由TOP10を確認してみましょう。年代や性別、職種などによっても差はありますが、ここでは総合ランキングを用いました。

順位dodaエン転職
1位ほかにやりたい仕事がある給与が低かった
2位給与に不満があるやりがい・達成感を感じない
3位会社の将来性が不安企業の将来性に疑問を感じた
4位残業が多い/休日が少ない人間関係が悪かった
5位専門知識・技術を習得したい残業・休日出勤など拘束時間が長かった
6位幅広い経験・知識を積みたい評価・人事制度に不満があった
7位土日祝日に休みたい自分の成長が止まった・成長感がない
8位U・Iターンしたい社風や風土が合わなかった
9位業界の先行きが不安体調を壊した
10位市場価値を上げたいやりたい仕事ではなかった

dodaの特徴としては「U・Iターンしたい」が8位に入っているところですね。また、「●●したい」というポジティブな願望系な言い回しになっているなと感じました。

エン転職には「人間関係が悪かった」や「評価・人事制度に不満があった」、「社風や風土が合わなかった」、「体調を壊した」など、本音の理由が多いような気がしました。あと気になった点は、dodaと比べると言い回しがネガティブだなと感じました(これは設問設計の差だと思いますが)。

転職理由=現職の悩みとも言えます。多くの人が仕事で悩んでいることでもあるので、面接官の観点でも解説していきます。

あなたの転職理由は面接官に届くのか?

dodaとエン転職の転職理由ランキングの転職理由を7つにグルーピングしてみました。面接官の視点で切り込んでいきます。

仕事内容

ほかにやりたい仕事がある
やりがい・達成感を感じない
やりたい仕事ではなかった

一つ目は、仕事内容についてです。

1日のうちの多くの時間を費やすのですから、興味関心のある仕事に取り組みたいですよね。

自身のやりたい仕事につけていない理由は2つに大別できます。

  1. 現職の会社では経験できない仕事
  2. 現職の会社でも経験できる仕事

まずは前者の理由について。

こちらはどんなに頑張っても経験できないことですから、本当に「心から経験したい」と思っていることがあるなら、転職することで手に入れるという判断も仕方がないと思います。ただし、今の会社でも自身がそういった経験ができる仕事を生み出すことができないのかも考えてみてください。

次に後者の理由について。

なぜ、現職の会社で経験できていないのでしょうか?それについて考えてみたことはありますか?もしかしたら上司の見る目がなくて、あなたに経験をさせてくれないだけかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか?あなたよりも熱意や能力を持った人がいたら、その人に任せますよね?転職先の会社でも同じことは起きないでしょうか?もし、面接で「現職ではやりたい仕事ができなかったから」と転職理由を話をするのであれば、「なるほど」と思ってもらえる背景を伝えられることが重要です。

それが難しいのであれば、仕事内容を転職理由として伝えない方がよいかもしれません。

給与

給与に不満がある
給与が低かった

給与を得ることは働く目的の一つなので重要なポイントですよね。

自分が期待する給与をもらえていない理由も大きく2つに分解できます。

  1. 現職の会社、業界の給与水準が低い
  2. 現職の会社、業界ではなく、あなたの給与が低い

まずは前者の理由について。

転職理由「将来性」にも関わってきますが、衰退していく産業や業界、負け組の会社に属していて、あなたが持っている能力を高く買ってくれる会社があるのであれば、転職することで待遇を改善するということはよい選択肢だと思います。

一方、後者の場合は、その原因について考えてみる必要があります。

給与と能力・実績が釣り合っている可能性もあります。確認する方法としては友人など確認する方法もありますが、素人の意見です。プロである転職エージェントに所属するアドバイザーに相談することをおすすめします。

その結果、市場価値が低かった場合は、自身の市場価値を高める戦略についての記事「あなたの市場価値を高めるための戦略立案」も参考にしてみてください。

将来性

会社の将来性が不安
業界の先行きが不安
企業の将来性に疑問を感じた

定年まで数年ならまだしも、あと何十年もある場合は会社や業界の将来性は気になるところですよね。

衰退産業の業界に勤めている場合は気が気じゃないですよね。実際、同じ能力を保有していたとしても会社が所属する業界で大きく給与が変わります。ただし、隣の芝が青く見えているだけということもありますし、業界を変更する場合はしっかりと研究する必要があります。

また、業界を変更することは知識なども新たにインプットする必要もあるため、成果を出すまでに時間を要する可能性もあります。

所属する業界は成長産業になっても、あなたが結果を出せなければ意味がありません。その点を理解した上で転職後の努力を忘れないことが重要です。

労働時間

残業が多い/休日が少ない
土日祝日に休みたい
残業・休日出勤など拘束時間が長かった

4つ目は労働時間です。

まず、勤務する曜日は、所属する業界や会社によって差が出る部分ですね。また、休日が土日ではなく、月〜金で友人や家族と合わないことが嫌だという人もいるかもしれません。

会社に申し出ることでシフトなどを変えてもらえる可能性もあるかもしれませんが、それが難しい場合は転職も視野に考える必要がありそうです。

次に、残業について。

残業時間が長い理由は2つに大別できます。

  1. あなたが受け持つ業務量が多すぎる
  2. あなたの業務を処理する速度が遅い

まず「あなたが受け持つ業務量が多すぎる」場合について。

従業員が少なく、一人当たりの負荷が高いのか、上司が適切にマネジメントできておらず特定の人に業務が偏ってしまっている可能性があります。

最初の理由の場合は採用活動が行われているのであれば一時的なものかもしれませんが、慢性的に発生しているのであれば、解消するのは難しいかもしれません。また、後の理由の場合は部署移動することで解決するかもしれませんが、他の部門も同様だった場合は転職を検討した方がよいかもしれません。

次に「あなたの業務を処理する速度が遅い」場合について。

もし、同僚と比較してみて、自分だけが残業時間が長い場合は、自分自身の能力の問題を疑ってみてください。どういったところに時間がかかっているのか、仕事の振り返りをすることで改善点を洗い出してみてください。

仕事の遅い人の理由の一つに「決めることができない」というものがあります。「どうしようどうしよう」と悩んでいるだけで前に進めることができず、時間ばかりが過ぎてしまうという状態です。

これを解消する方法の一つは、紙に迷っていることを書き出すことです。全部を同時に考えるのではなく、ひとつずつ解消する方法を考えていきましょう。また、紙ではなくパソコンで行う場合は「XMind」というマインドマップツール(無料)を使うことで整理することもおすすめです(私も利用しています)。

キャリアアップ・スキルアップ

専門知識・技術を習得したい
幅広い経験・知識を積みたい
市場価値を上げたい
自分の成長が止まった・成長感がない

5つ目はキャリアアップ・スキルアップについて。

もっと、知識や技術を身につけて成長したい、市場価値を上げたいというポジティブな転職理由に聞こえるためよさそうにおもわれるため、面接でも口にする人が多いです。

でも、成長を絡めた転職理由を伝える場合は注意が必要です。

もし「今の環境では実現できないのですか?」と面接官に質問されたら、どのように回答しますか?面接官が質問してくれれば挽回のチャンスもあるためラッキーですが、できない理由を他責にする人なんだなと思われたら減点になってしまいます。

よって、面接官に「転職しないと実現できない理由である」と共感してもらえるかどうかをしっかりと考えるようにしましょう。

職場の雰囲気

人間関係が悪かった
社風や風土が合わなかった

最後から2つ目は職場の雰囲気について。

まずは「人間関係が悪かった」場合を2つに分解して考えていきます。

  1. あなただけが人間関係に困っている
  2. 会社・職場全体がギスギスしている

もし、前者で自身にその原因がある場合は、転職先の会社でも同じことが起きる可能性について考えてみてください。原因は「コミュニケーションの問題」、もしくは「能力不足」の2つが多いです。心当たりがあれば改善を試みることをおすすめします。

次に「社風や風土が合わなかった」場合について。

これはひとそれぞれ価値観が異なるので、自身にあった社風・風土の会社を探したいですよね。

例えば、体育会系のノリでイケイケな社風が合う人もいれば、逆にじっくりと腰を据えて、確実に進めていく社風が合う人もいるでしょう。

転職活動する際に注意したいのは、配属予定の部門と会社全体の雰囲気に違いがないかをはっきりとしておきましょう。転職後に部署移動などで雰囲気が変わるなんてこともあり得ます。

その他

U・Iターンしたい
体調を壊した

最後に全く異なる理由の2つの項目が残りましたが、ここでは「体調を壊した」について考えていきます。

企業の採用担当が気になる点は大きく3つです。

  1. 今は体調が万全なのか?
  2. 今後、再発する可能性はあるのか?
  3. その原因はなんだったのか?

近年、増加傾向にある「うつ病」の場合など、再発する確率が多い病に罹った人の場合は面接などでもチェックされます。企業によっても異なるかと思いますが、私個人の観点では休職していた場合、復職後に1年は安定して働けていた実績は欲しいです。

ただし、現職の職場が原因で体調を壊したとおもわれますので、その環境下で働き続けるべきかどうかは悩ましいところですよね。部署移動などで改善するケースもあるとおもますので、転職以外の方法も検討してみてください。

面接官の視点で転職理由をチェックする

本記事の冒頭にも書きましたが、面接において転職理由は必ず質問される項目の一つです。転職理由がNGで採用されなかった、なんてことにならないようにしっかりと対策をしましょう。

まずは転職理由を整理する

ここでは自分の本音の転職理由を書き出してみましょう。転職理由を整理するためのチェックシートを作成しましたので活用してみてください。

ジョブメ特製!転職の目的チェックシート ver.1.0

転職活動を進めていく中で現在の勤務先の見え方が変わってくることもありますし、あまり難しく考えすぎず、変わる前提で書き出してみてください。

面接官になりきって自己チェックする

次に本音で書き出した転職理由を面接官になりきってチェックしてみてください。

「面接官なんてやったことないから無理!」って思われるかもしれませんが、以下の観点で自身が書き出した転職理由を聞いたときに、どう感じるかを自身でチェックしてみてください。

  • 一緒に働きたいと思うかどうか
  • 入社してきても、また辞めてしまうのではないか

もし、上記の2つの観点でチェックして、該当する転職理由があった場合は面接時に伝え方を考え直した方がよいでしょう。これを自分で考え、理解できると面接での応対をうまく行えるようになるのでおすすめです。

転職エージェントも活用する

自分でもチェックしてみたけど、不安があるという方は、転職エージェントのアドバイザーを活用するのも手です(むしろ、転職エージェントに登録している場合は、積極的に活用しましょう)。

書類の添削や面接対策などをすることもアドバイザーの仕事の一つです。遠慮なく担当アドバイザーに相談してみてください。過去に応募した人が質問された内容やどのような人材を求めている企業なのかを把握しているため参考になる意見をもらえます。

以下のサービスは面接対策や親身なサポートに定評がある転職エージェントです。もし、転職エージェントに登録されていない場合は利用を検討してみてください。

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私が面接官として転職理由をチェックする観点

最後に、私が面接官として転職理由をチェックする観点をまとめましたので、参考にしてみてください。

  • 現在の環境ではどうしようもなかったことなのか(やれることはやったのか?)
  • 入社しても、短期間で辞めてしまわないか
  • 企業のポリシーにあった考え方の持ち主か

転職エージェントを活用される方は「転職ランキングに騙されない転職サービスの見つけ方」も参考にしてみてください。

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