「職場でこんなに悩んでいるのは自分だけ?」「辞めるほどなのか分からないけれど、このまま我慢するのもつらい」。ほかの人の悩みを知って、自分の状況を確かめたくなることはありませんか。
同じ悩みを持つ人が多いからといって、我慢しなければならないわけではありません。生活や家族のことを考えると、すぐに仕事を変えられない人もいるはずです。まずは何が負担になっているのか、今の職場で変えられることはあるのかを、一つずつ整理していきましょう。
厚生労働省が2026年8月に公表した「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、2025年の調査で仕事や職業生活について強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者は67.5%でした。
この記事では、同調査で回答が多かった5項目をランキング形式で紹介し、それぞれの悩みに対して最初にできることを整理します。
なお、この順位は仕事上の悩みをすべて集計したものではありません。「強い不安・悩み・ストレスがある」と答えた人を母数に、その内容を3つ以内で選んだ結果です。複数回答のため、割合の合計は100%になりません。
仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる人は67.5%
厚生労働省の個人調査では、労働者を対象に集計し、そのうち67.5%が仕事や職業生活に関して強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄があると回答しました。以下の内訳は、その「ある」と答えた人を100とした割合です。
つまり、仕事に強い負担を感じること自体は珍しくありません。ただし、同じ「仕事がつらい」という感覚でも、仕事量、責任、仕事内容、人間関係など、原因によって取るべき対応は異なります。
まずは、自分が何に負担を感じているのかを分けて考えることが大切です。
仕事の悩みランキング
| 順位 | 強い不安・悩み・ストレスの内容 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位(同率) | 仕事の量 | 39.5% |
| 1位(同率) | 仕事の失敗・責任の発生等 | 39.5% |
| 3位 | 対人関係(セクハラ・パワハラを含む) | 32.9% |
| 4位 | 仕事の質 | 30.7% |
| 5位 | 顧客、取引先等からのクレーム | 22.1% |
出典:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」個人調査
令和6年と令和7年の数値は同じ調査の各年結果として併記されていますが、ここでは単純な増減の評価はしません。設問の対象・母数・回答方法を確認したうえで、各年の傾向として読み取ってください。
ここからは、上位5項目で起きやすい状態と、最初に確認したいことを解説します。
1位(同率):仕事の量
仕事量の悩みは、単純に担当業務が多い場合だけではありません。期限が重なっている、突発対応が多い、判断待ちで作業が滞る、役割分担が曖昧といった問題が重なっていることもあります。
最初に、抱えている仕事を次の4項目で一覧にします。
- 期限
- 重要度
- 必要な作業時間
- 自分以外でも対応できるか
そのうえで、上司へ「忙しい」とだけ伝えるのではなく、優先順位の変更、期限の調整、担当の追加、作業範囲の削減など、必要な判断を具体的に相談します。切り出し方に迷う場合は、上司への相談で事実・選択肢・推奨案を整理する方法の例文を使って、何を決めてほしいかをまとめてください。
管理職自身が仕事を抱えている場合は、部下に仕事を任せる7つの手順も参考にしてください。
休日も部下や取引先から連絡が入り、気持ちが休まらない管理職の方は、仕事の量に加えて「いつ・誰が対応するか」も見直してみてください。休日の連絡への対応ルールを決める方法では、緊急の連絡と休み明けでよい依頼の分け方を整理しています。
1位(同率):仕事の失敗・責任の発生等
失敗への不安が強いと、確認を繰り返して仕事が進まなくなったり、判断を避けたりすることがあります。責任範囲が曖昧な職場では、必要以上に自分だけで抱え込みやすくなります。
次の点を上司や関係者と確認しましょう。
- 自分で判断してよい範囲
- 事前承認が必要な事項
- 問題が起きたときの報告先
- 途中で確認するタイミング
- 組織として許容できないリスク
失敗を完全になくすことはできませんが、早く相談できる条件を決めれば、重大な手戻りを減らせます。問題を早い段階で共有できる職場づくりについては、心理的安全性を高める7つの方法で詳しく解説しています。
管理職として結果を求められる一方、人員や予算を決められないなら、責任と権限のずれが負担になっている可能性があります。責任ばかり増え、権限がないときの対処法で、自分で決められる範囲と上司へ判断を求める事項を分けてみてください。
3位:対人関係
対人関係の悩みは、相性だけでなく、情報共有の不足、役割の衝突、評価への不信、相談しにくい雰囲気などから生まれます。
出来事と解釈を分けて記録すると、問題を相談しやすくなります。
| 分ける項目 | 記録例 |
|---|---|
| 実際に起きたこと | 会議で発言を3回遮られた |
| 仕事への影響 | 必要な懸念事項を共有できなかった |
| 自分が求める状態 | 発言を最後まで聞いてから意見を返してほしい |
ハラスメント、安全上の問題、強い威圧などがある場合は、一人で相手と解決しようとせず、社内の相談窓口、人事、労働組合などへ相談してください。
4位:仕事の質
仕事の質に関する悩みには、「求められる水準に届かない」「得意分野と担当業務が合わない」「完成の基準が分からない」といった状態があります。
まずは、能力不足と決めつける前に、完成条件を確認します。
- 成果物を誰が何に使うのか
- 必ず満たす条件は何か
- 参考にできる過去の成果物はあるか
- 品質と期限のどちらを優先するか
- 不足している知識や経験を誰に聞けるか
期待水準が曖昧なまま努力量だけを増やしても、評価とのずれは解消しにくいものです。着手前に認識をそろえるには、曖昧な指示を確認する7つの質問で、目的・完成条件・期限を確認してください。上司との定期的な対話には、1on1ミーティングの目的とやり方も活用できます。
5位:顧客、取引先等からのクレーム
クレームを受けたときは、担当者一人で解決を約束せず、事実、相手の要望、対応期限、判断が必要な点を分けて記録します。謝罪や説明の範囲、返金・契約変更などの判断は、社内のルールと責任者に確認してください。
威圧、脅迫、暴力や安全上の危険がある場合は、通常の顧客対応として抱え込まず、上司や所定の相談先へ直ちに共有します。
給与が低い・評価されないという悩みは?
「自分が一番悩んでいるのは給料なのに、ランキングに見当たらない」と感じた人もいるかもしれません。この表は、強い不安・悩み・ストレスの内容を尋ねた調査の上位項目です。給与や評価への不満が小さい、という意味ではありません。
別の調査では、ミライのお仕事が2023年8月に社会人経験のある男女296名へ行ったインターネットアンケートで、「給与が低い」が37.2%で最多でした。調査時期・対象者・質問が異なるため、上の厚生労働省の順位や割合と直接比較したり、一つのランキングにまとめたりはできません。
出典:ミライのお仕事「2023年版 仕事の悩み」調査(調査期間:2023年8月4日〜9日)
頑張っているのに評価されないと、これ以上何をすればよいのか分からなくなることもあります。相談の前には、次のどこに納得できていないかを分けてみてください。
- 任される仕事や責任が増えたのに、処遇が変わらない
- どの成果が評価されるのか分からない
- 評価は上がったが、給与や昇格にどう反映されるか分からない
例えば「この半年で担当範囲が増えました。今の役割で期待される成果と、評価・処遇を見直す条件を確認したいです」と伝える方法があります。これは相談例であり、昇給を約束するものではありません。会社の制度や判断に関わる部分まで、自分の努力不足として抱え込む必要はありません。
管理職として責任が増えたのに待遇に納得できない場合は、給料・勤務時間・責任を比べる方法で、上司や人事へ確認する条件を整理できます。
参考:役割・地位の変化等
昇進、異動、配置転換、部下を持つこと、組織変更などは、前向きな変化であっても負担になります。これまで成果を出してきた方法が使えなくなり、新しい役割の評価基準も見えにくいためです。
役割が変わったら、次の点を確認します。
- 今後期待される成果
- 自分が続ける仕事と手放す仕事
- 意思決定できる範囲
- 評価される期間と指標
- 困ったときに支援を求める相手
管理職になってもプレイヤー時代の仕事を抱え続けると、新しい役割へ時間を使えません。役割の切り替えは、マネージャーに必要な3つのスキルも参考になります。
管理職としての悩みを整理したい場合は、管理職が難しいと感じる仕事ランキングで、育成や意欲への関わり方と、組織で調整する問題を分けて考えられます。

仕事の悩みを整理する3つの手順
起きている事実を書き出す
「仕事がつらい」という評価だけでなく、いつ、どの仕事で、何が起きているかを書きます。仕事量、責任、品質、人間関係、役割変化のうち、どれに近いかも分けてみてください。
自分で変えられることと、組織の判断が必要なことを分ける
作業順序や相談方法は自分で変えられる場合があります。一方、人員配置、期限、評価制度、担当範囲などは、上司や組織の判断が必要です。自分だけで解決できない問題まで抱え込まないことが重要です。
次に取る行動を一つ決める
すべてを一度に解決しようとせず、次のような具体的な行動を決めます。
- 担当業務と期限を一覧にする
- 上司へ優先順位の判断を依頼する
- 完成条件を確認する
- 相談窓口へ連絡する
- 異動や転職を含む選択肢を整理する
社内外の相談先を使い分ける
| 相談内容 | 相談先の例 |
|---|---|
| 優先順位・期限・担当範囲 | 直属の上司、プロジェクト責任者 |
| 配置・評価・制度 | 上司、人事、社内相談窓口 |
| 人間関係・ハラスメント | 人事、コンプライアンス窓口、労働組合 |
| 体調への影響 | 産業医、医療機関、社内外の健康相談窓口 |
| 今後のキャリア | 上司、社外のキャリア相談、転職サービス |
相談するときは、「何がつらいか」に加えて、「仕事にどのような影響が出ているか」「何を相談したいか」を伝えると、相手が判断しやすくなります。うまく説明できないときは、「何から話せばいいか整理できていないのですが、困っています」と切り出しても構いません。
上司が悩みの原因で、相談しづらいとき
「上司に相談すればいい」と言われても、その上司との関係に悩んでいるなら、話しにくいのは当然です。無理に本人との話し合いから始めず、別の責任者、人事、社内相談窓口、労働組合など、相談できる相手を選んでください。
社内では話しづらい職場のトラブルについては、厚生労働省の総合労働相談コーナーも選択肢です。相談の最初に、誰まで情報を共有するのか、どのように対応を進めるのかを確認しておくと、希望を伝えやすくなります。
社内での改善が難しく、転職を検討する場合も、焦って退職を決める必要はありません。収入や仕事内容などのリスクは、転職前に想定したい7つのリスクを使って整理できます。40代・50代で何から始めるか迷う人は、40代・50代の転職で最初に確認することも確認してください。
次の職場で同じ悩みを繰り返さないために
「転職しても、また同じことで悩むのでは」と心配になることもあるでしょう。転職するかを決める前に、今の不満を、次の職場で確認したい条件へ置き換えてみてください。
| 今の悩み | 次の職場で確認したいこと |
|---|---|
| 仕事が多すぎる | 配属先の残業、繁忙期、人員体制、担当範囲 |
| 評価に納得できない | 評価基準、面談の頻度、昇給・昇格の仕組み |
| 上司との関係がつらい | 仕事の任せ方、意見を伝える機会、別の相談先 |
| 成長の見通しが持てない | 任される仕事、育成の支援、異動の選択肢 |
気になる会社があるなら、求人票だけでなく企業口コミも確認材料になります。ただし、口コミは部署・投稿時期・投稿者の立場で見え方が変わります。一件だけで会社全体を判断せず、面接で確かめたい質問を作るために使いましょう。
転職口コミの見方|残業・評価・人間関係の情報を応募判断に使う方法では、転職会議などの口コミを読むときの確認点を整理しています。今すぐ応募するかを決めずに、まず情報を集めるところからでも構いません。
管理職が部下の悩みに気づいたときの対応
部下から相談を受けたときは、すぐに励ましたり、本人の考え方を変えようとしたりする前に、負担の原因を確認します。
- 本人の話を遮らずに聞く
- 仕事量、責任、品質、人間関係、役割変化のどこに問題があるか整理する
- 健康・安全に関わる緊急性を確認する
- 本人が求める支援と、管理職が判断すべき事項を分ける
- 対応内容と次回の確認日を決める
私の経験:対応を注意する前に、背景を聞いた例
私が部下と接する中で、他部署の人への対応がそっけなくなっていることがありました。その対応をすぐに否定するのではなく、本当はどのように接したいのか、なぜ今の対応になったのかを聞きました。
本人からは、以前は相手に合わせていたものの、軽く扱われるように感じ、厳しくしなければならないと思うようになった、という経緯が出てきました。過去の背景を聞き、本人がありたい姿を意識するようになると、そっけない対応は減りました。
これは一つの経験ですが、表に出ている態度だけでは、本人が何に困っているのかは分からないと感じた例です。相談を受ける側も、改善策を伝える前に、そこに至った経緯を聞くことを大切にしたいと思います。
全員へ同じ対応をするのではなく、仕事の状況と本人の経験に合わせて支援します。複数の部下への支援を整理する場合は、部下育成の優先順位を決める4つの基準も参考になります。
まとめ
厚生労働省の令和7年調査では、仕事や職業生活に関して強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者は67.5%でした。「ある」と答えた人を母数にした上位項目は、仕事の量、仕事の失敗・責任、対人関係、仕事の質、顧客・取引先からのクレームです。
仕事の悩みは、本人の努力だけでは解決できないことがあります。まず事実を整理し、自分で変えられることと組織の判断が必要なことを分け、次の行動を一つ決めてください。
体調や安全に影響が出ている場合や、ハラスメントが疑われる場合は、一人で抱え込まず、社内外の適切な窓口へ早めに相談しましょう。
